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「新NISA」は地銀の集客チャンス。顧客獲得を競う特設ページを比較調査

みなさん、こんにちは。メンバーズルーツカンパニーの広報担当です。
今回は、2024年1月にスタートする「新NISA」制度についての調査記事です。新NISAが始まるのを前に、各金融機関では顧客獲得のためNISA口座の新規開設や投資信託の購入を促すキャンペーンを活発に展開したり、資産運用の情報発信を行ったりしています。
そこで今回は、今年4月に公開されたNISAの意向調査の結果から個人の意識を考察しつつ、新NISAについてWebサイトの特設ページで積極的に発信しているいくつかのを銀行を調査・比較してみました。

参考:銀行が競う新NISAキャンペーン 口座開設で現金進呈のメガも

来年から始まる新NISA。関心も増加傾向?

現行のNISAは、2014年1月にスタートした制度で、少額からの投資を行う方のための非課税の制度でした。そのNISAが、“新” NISAとして、2024年1月より大幅な制度拡充があるということで今話題になっています。近年ではコロナ禍で投資を始めたり、若年層の投資家が増えているなど、世間一般に投資への関心は高まり、NISAも選択肢の一つとして検討している方も多いようです。
そして、今回の新NISAの制度拡充によって非課税保有期間が無期限となることや、年間投資上限額の引き上げなど、いくつかの変更点がありますが、制度拡充のメリットもあり、資産運用や投資に力を入れたい、節税したい方なども含め、これまでNISAを始めなかった方も関心を寄せていると考えられます。

口座開設は地域密着型の地銀にチャンス

株式会社NTTデータエービックが今年4月に公開したNISAの意向調査から、その事を裏付けるデータが見受けられます。NISA未利用者の新NISAへの興味があるかどうかについては、全国平均で約57%が何らかの興味を持っているという結果が出ていました。また、どの地域でも50%以上という結果になっており、地域性による偏りはなく、全国的に同レベルの関心を持っていることが分かります。

さらに、口座開設については近年の傾向からインターネット証券やインターネット銀行が多くを占めると予測しましたが、すべての地域でネット証券・ネット銀行を選ぶという結果にはなりませんでした。ネット証券・ネット銀行を選んでいた地域は関東で最も多く(25.7%)なりましたが、それ以外の地域では、日ごろ利用している等の理由から地元の銀行を選択する(東北:37.3%、北陸・甲信越:34.9%、九州・沖縄:38.0%)という回答が見られました。

この結果からも、地銀は地元ユーザーに信頼されているという、地銀ならではの強みが改めて証明されたのではないでしょうか。“地銀に親しみを持つ層”を取り込んで獲得していくためには、投資初心者にもわかりやすく、日頃から使っている金融機関としての安心感を持ってもらえるような情報発信を行う必要があります。新NISAを顧客獲得のチャンスに繋げていきましょう。

参考: 株式会社NTTデータ エービック「NISA制度拡充に対する意向調査を実施」

新NISA特設ページを比較

ここからは、早くも新NISAの情報発信を行うページを作成している銀行の中から、地銀を傘下に持つりそなグループ、地銀の肥後銀行と北陸銀行をピックアップし、個々にどのような対応をしているのか、共通点や各銀行の特徴となっている部分について解説していきます。

特設ページの共通点

どの銀行も文章だけではなく、イラスト等を使用して親しみやすい雰囲気を出していました。また、3行ともキービジュアルのベースカラーには、柔らかい雰囲気を演出する淡い色が使用されています。
新NISAの説明については、「変更点のポイント」を箇条書きにして内容を説明していました。冒頭ではあまり細かな説明はせず、わかりやすく“何が変わったのか” だけを伝えるに留めています(地銀によっては、図表なども使用)。
もう一つの共通点は、現行NISAとの変更点の比較一覧表です。表に記載する内容は同じですが、変更点を項目ごとにチェックでき、金額や期間の変更点が分かりやすく見えるようにまとめられていました。そして、細かな説明はページの下部の「よくある質問」にまとめ、より詳しく制度についての説明を記載していく構成です。
ページの機能としての共通点は、画面をスクロールしても常に表示されるボタン(来店予約や口座開設、ログイン等)を下部に設置し、気軽に次のアクションに繋げられるようにしていました。

銀行ごとの特徴

りそなグループ

まず、特設ページのキービジュアルのイラストが柔らかく、「初心者の方でも安心」という文字も目に付くように入れられており、初心者にも読み進めやすそうな雰囲気を全体的に出していました。そのままスクロールすると、NISAのメリットである非課税という点について具体的な説明が出てきます。『投資信託で10万円の利益が出たら、どれぐらいの金額が受け取れるか?』を例に、NISAであれば非課税なので、10万円を丸ごと受け取れる……ということをイラストも入れて解説しており、初心者にも運用イメージがしやすく、理解しやすい導入部分になっていました。
次のセクションでは、りそなグループならではのメリット(運用サポート、ポイント付与)を説明した後、制度の細かな内容へと深堀りしていくような構成です。親しみを感じやすいイラストもあり、最後まで離脱せず、投資を始めたい方にも読み進めやすいように感じました。

参考: りそなグループ「初心者の方でも安心!どうなるNISA制度」

肥後銀行

キービジュアルの後に、新NISA制度がスタートすることと新NISAのメリットを説明し、その下の部分に新旧NISA制度の比較表が見える構成になっています。
全体的に、新NISAの準備事項やNISA口座の開き方など、必要な情報は分かりやすくシンプルにまとめて掲載されている印象です。スクロールの最後には肥後銀行のYouTube動画が埋め込まれており、NISAについての説明が動画で見られます。初心者にもわかりやすいコンテンツを設けつつ、ページ全体の雰囲気は現行のNISAを運用している、もしくは投資にある程度は知識がある層を想定しているように感じられました。
また、肥後銀行のWebサイトは、Web接客ツールを活用しており、こちらの新NISAの特設ページの右下にもチャットが設置され、問い合わせができるようになっていました。ページ自体はシンプルな造りでありながらも、質問があればテキストを入力したり、選択肢を選びながらコミュニケーションが取れるように工夫がされています。

参考:肥後銀行「新NISA特設サイト」

北陸銀行

キービジュアルで使われているテキストに、2023年までの投資額が新NISAの非課税保有限度額(総枠)の1,800万円に含まれないことを明記していました。新NISAのメリットとして分かりやすい点をTOP画像の中に入れて見せている点は、他の比較した地銀の特設ページには無いもので、目を引くポイントとなっています。

そして、キービジュアルのすぐ下には、これから始める方へのキャンペーンのバナーが貼られているため、新規の方は直ぐにキャンペーンページに遷移できる構成です。特設ページの後半は、初めての方向けの内容になっており、「一般NISA」「つみたてNISA」それぞれの案内ページに遷移できるボタンが設置されています。さらにスクロールすると、NISA口座開設手続きについてのセクションに入りますが、アプリで口座開設が出来ること(来店が不要)、口座開設は3ステップで簡単であることを前面に打ち出しており、手軽さを強調する表現になっていました。

参考: 北陸銀行「始まる、新たなNISA制度。」

まとめ

今回ピックアップした各銀行の特設ページには、新NISAに関心を持ちやすくするための表現や問い合わせ・口座開設に繋げる工夫が含まれており、それぞれの特徴を感じ取っていただけたのではないでしょうか。

また、前半の調査結果から新NISAで新規顧客を獲得する場合には、地銀にも大きなチャンスがあることも判明しました。現在、NISAという制度は世間一般に浸透してきてはいますが、実際に行動に移している割合はまだ多いとは言えません。投資への関心の高まりを新NISAの口座開設に結びつけるためには、まずは、初心者に分かりやすく、安心感を与えられるもの、という目線で考案してみるのも良いのではないでしょうか。「制度の説明が分かりやすく興味を持てた」、「安心して相談できそうだと思った」と感じてもらい、そこから問い合わせ~口座開設へと繋がることも考えられます。

新NISA制度のスタートまでには少し時間もありますので、キャンペーンページやコンテンツ改修・追加の際には、他の地銀の取り組みも参考にしながら顧客獲得のチャンスへと繋げてみましょう。

今後も地銀DXの潮流や取り組みなどをご紹介していきます。

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