みなさん、こんにちは。メンバーズルーツカンパニーの広報担当です。
今回は、経済産業省より発表された「DX銘柄2023」についての記事となります。選定された中には、地方銀行(以下:地銀)を傘下に持つ企業も含まれていました。今後の競争力強化につながるヒントが見つかるかもしれません。ぜひご覧ください。
銀行業から2社が選定!「DX銘柄2023」
「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績がある企業を毎年選定する取り組みです。経済産業省、東京証券取引所、独立行政法人情報処理推進機構が共同で推進しています。
今回、選定企業32社の中で銀行業として選出されたのは2社。銀行業として唯一2年連続の選定「株式会社ふくおかフィナンシャルグループ」、2020年・2021年以来3度目の選定「株式会社りそなホールディングス」でした。
参考:経済産業省「「DX銘柄2023」「DX注目企業2023」「DXプラチナ企業2023-2025」を選定しました!」
選定2社の特長と取り組み
銀行業はなかなかDX推進が進みにくい業界というイメージがある中で、この2社についてはDX銘柄として複数回も選定されています。このことからも、いかにDXの必要性を感じて内部の改革を進めているのかが伝わってきます。「ふくおかフィナンシャルグループ」、「りそなホールディングス」、それぞれのデジタル活用はどのように行われてきたのか、企業の特長やどのような取り組み事例があるのかを調査しました。従来の銀行の常識を覆すかのように、時代の変化を取り入れ挑戦し続けている2社の戦略やDX事例について紹介していきます。
ふくおかフィナンシャルグループ
ふくおかフィナンシャルグループ傘下のネット銀行「みんなの銀行」取締役頭取 永吉健一氏は、インタビューにて、「銀行の外につくったiBankマーケティング、みんなの銀行では、アジャイル型で小さくサービスをつくり、顧客の声を取り込みながら改善を繰り返していく手法をとっています。また、データドリブンのマネジメントや、金融以外の世界との協業にも積極的に取り組んできました」と語っています。『“お客さま本位”を徹底的に追求し、デジタルの力を活用しながら地域の未来を豊かにすることを目指す。銀行自らが変革することで、お客さまに金融の枠を超えた新しい価値体験を提供、グループ全体を巻き込んだDXの推進活動を展開していく』という、企業のDX戦略に沿ったサービスをリリースしていました。
参考:HIP「新常識に挑む「みんなの銀行」の戦略。ネット銀行と異なるデジタルバンクとは」
DXの取り組み
【こうふりネット】
2021年12月、WEB口座振替受付サービスとして「こうふりネット」をリリース。これまで主に紙ベースで行っていた口座振替契約の受付手続きをWEB完結で実現するサービスです。事業者はシステム開発なしに、自社ホームページにサービス受付ページへのリンク設置や、チラシに受付ページにアクセスするQRコードを掲載するだけでサービス導入ができるというもの。事務負担が大きく、契約完了までの長期化に繋がっていたという課題を解決に導くサービスとなっています。
【みんなの銀行】
2021年1月4日に銀行システムの稼働を開始した「みんなの銀行」は、国内初のデジタルバンクとして登場した、既存の銀行サービスがカバーできていない世代=デジタルネイティブな次世代に向けたバンキングシステムです。デジタル起点の新しいサービスを提供し、口座開設からATM入出金、振込など、全てのサービスがスマートフォン上で完結できるようになっています。デジタルの世界では地理的制約を受けないことを活かし「みんなの銀行」を全国エリアで事業展開し、積極的なマーケティング活動を通じた顧客基盤を形成。2022年7月には全ての手続きがアプリで完結するローンサービス「みんなの銀行Loan」の提供を開始しています。また、ここで蓄積してきたナレッジも銀行本体に取り込みながら、グループ全体を巻き込んだDXの推進活動を展開していくとのこと。
参考:PR TIMES:「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2023」に2年連続選定
りそなホールディングス
経営ビジョン・ビジネスモデルに『お客さまのこまりごと・社会課題を起点に、従来の銀行の常識や枠組みにとらわれることなく、新しい発想、幅広いつながりが育む様々な共鳴を通じて、時代の変化に適合し、お客さまに新たな価値を提供する』、『デジタル化加速等の社会構造変化を踏まえ、ビジネスモデル・経営基盤を時代の変化に適合させることを目指す』等を掲げているりそなホールディングス。南昌宏社長は、銀行の枠を超えるための組織改革インタビューにて、「社内教育も加速しているが、今の時点で勝負しているのは、外の高度な知見と融合することで、この分野のりそなとしての組織能力を短い期間でいかに上げるかが非常に重要なポイントだ。外部の優れた人材を使ってどんどんと変化させ、その文化を組織の中にも根付かせていきたい。そのことが、結果としてフェース・トゥ・フェースのリアルサイドの価値の引き上げになる。もう一つはデータをいかにマネタイズしていくかもポイントだ」と語り、外部人材の活用が銀行員の意識を大きく変えることに期待を膨らませていました。
参考:ITmedia ビジネスONLINE:りそなHD南昌宏社長が語る「銀行の枠を超えるための組織改革」異業種から人財を積極採用
DXの取り組み
【「デジタル」と「リアル」の融合】
個人1,600万人・法人50万社のお客さま基盤、関西・関東を中心とした豊富な対面チャネル(約800店舗の支店数と支店窓口・営業人財)、フルバンキングとしての多様な商品・サービスラインアップという強みを最大限活かせるよう、デジタル技術を活用して「会えないお客さま」との取引機会を拡大。対面で会えないユーザーへの取引を「うすく」×「ひろく」×「ながく」することで、収益を獲得していくビジネスモデルへの変革を目指しています。
参考:りそなホールディングス「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2023」の選定について
【金融デジタルプラットフォームの構築】
2022年4月、金融デジタルプラットフォームの提供を加速させることを目的に、りそなホールディングスと日本IBM株式会社、株式会社NTTデータは、合弁会社「FinBASE」を共同設立。これにより、地域金融機関や一般事業法人等の利用企業は、金融デジタルプラットフォームを活用することで、革新的なテクノロジーを有する企業が持つ多種多様なサービスを利用することが可能になるとのこと。
参考:ITmedia ビジネスONLINE:FinBASEが描く「金融デジタルプラットフォーム」がある世界 共創が生み出す企業成長と地域活性化とは?
【オープン・イノベーション共創拠点「Resona Garage」】
2020年の9月、南社長肝いりで創設されたのは「Resona Garage(りそなガレージ)」。中期経営計画で掲げているビジネスモデル・経営基盤の次世代化に向けた取り組みを加速させるためのオープン・イノベーション共創拠点です。銀行の枠組みを超えた新しい価値を創造するための場で、チームラボ、日本IBM、トランスコスモスなどネット・IT業界の最先端で活躍している内外の若手社員合計約120人が勤務し、りそなのシステムをサポートすると同時に、斬新なアイデアによる新しいビジネスの芽を見つける場となっています。
参考:ITmedia ビジネスONLINE:りそなHD南昌宏社長が語る「銀行の枠を超えるための組織改革」 異業種から人財を積極採用
まとめ
DX推進で評価された2社は、経営ビジョン・ビジネスモデル構築~戦略の段階で立てたDX実現の目標を着実に推し進めている印象を受けました。
また、他業種などを巻き込んだ新たなサービス開発や組織づくりへの取り組みや、アジャイル開発を取り入れる等、変化を恐れない姿勢も感じ取れます。DXに手詰まり感があるとお悩みの地銀の担当者さまは、デジタルに強いナレッジを持つ企業との共創なども一つの手段になるかもしれません。今回の2社の取り組み等を参考に、今までにない発想でDXに取り組んでみてはいかがでしょう。
今後もデジタルテクノロジーの潮流やDXに関する取り組みなどをご紹介していきます。