みなさん、こんにちは。メンバーズルーツカンパニーの広報担当です。
今回は、2021年に施行された銀行法改正後の各銀行の取り組みを調査しました。広告業務やデータ分析などを手掛け始めた中でどのような変化が起きているのか。新たな事業参入のインパクトが気になる方はぜひ、ご覧ください。
持続可能な社会の存続を見据えた銀行法改正
2021年11月に改正銀行法が施行され、銀行グループの業務範囲規制や出資規制が大幅に緩和されることとなりました。「銀行が広告を売れるようになる」ということで話題になっていたのを覚えている方も多いのではないでしょうか。
こちらは、金融庁が事務局を務める「銀行制度等ワーキング・グループ」が公表した報告書の〈業務範囲規制〉の中の一つに、データ分析・マーケティング・広告を追加する旨の提言がされたというもの。これによって銀行本体やその子会社の業務として、広告や宣伝ができるようになりました。その他にも〈銀行業高度化等会社〉では、地域商社、フィンテック関連以外に、地域活性化、生産性向上、持続可能な会社の構築に資する業務を追加。〈出資規制〉には、投資専門会社の取り扱える業務として、コンサルティング・ビジネスマッチング業務が追加され、非上場の地域活性化事業会社に対し、100%まで出資可能に変更されています。
こうして幅広いサービスが可能となったことで多くの銀行で業務に関する検討が始まりましたが、今回は施行から2年弱が経った現在、各銀行で実施された取り組みを追ってみました。
参考:株式会社野村総合研究所 金融高度化ワークショップ「広告媒体業の次は、銀行業高度化等会社による“広告代理店”化」
参考:OctoKnot「銀行が広告を売る!?規制緩和がもたらす新領域【前編】」
各銀行の広告事業参入事例
メガバンク
三井住友銀行
2021年7月、株式会社三井住友フィナンシャルグループは、株式会社電通グループとともに、金融ビックデータを活用した広告・マーケティング事業を営む新会社「株式会社SMBCデジタルマーケティング」を設立しています。こちらは、広告・マーケティング業界への関心が高まっていた中、「銀行業高度化等会社」を活用し、国内メガバンクで初めて金融庁の許可を取得したもので、銀行法改正以前に設立されていました。
高野義孝 代表取締役社長は「当社の設立は『情報産業化』の取り組みの一つです。銀行や金融機関が持っているデータや情報は、長年の取引によって蓄積されたもので、財務諸表には表れない価値の高い資産です。そのデータや情報を広告・マーケティング事業に生かそうというのが狙いです」と語っており、膨大な自社データを蓄積していることに着目し、「これを活用することでお客さまに価値を提供できるのではないかと考えています。口座の変化を分析することでライフイベントやライフステージを推測し、ニーズに合った広告をお届けすることができると考えています」と、広告業務に対する意気込みを語りました。
また、大久保卓哉 電通統合マーケティング・プロデューサー兼、SMBCデジタルマーケティング取締役副社長は、Web広告に対する世間の目がかなり厳しくなっていること、センシティブなデータを扱う点について「法的な面での確認はきめ細かく行っています。電通はさまざまな企業のマーケティングをサポートしていて、データの活用事例や注意点に関するたくさんの知見があります」と、広告審査が厳正であることについても触れていました。
メガバンクという信頼、大手広告代理店による豊富な知見を掛け合わせた協業によって、蓄積されたデータを活かしたデジタルマーケティングの展開が期待されています。
参考: DX-link「三井住友フィナンシャルグループと電通グループが合弁会社、SMBCデジタルマーケティングを設立。広告・マーケティング事業を展開」
参考:日本経済新聞「金融データを生かしたデジタルマーケティングで個人と法人をつなぐ」
参考:電通報「ライフイベントを正確に捉える。金融データを活用した広告・マーケティング事業とは?」
地方銀行
きらぼし銀行
2022 年6月、株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループは、広告代理業を手掛ける株式会社ビー・ブレーブの全株式を取得し、子会社化することを決定しています。
官公庁や企業のチラシ制作からIRまで、さまざまな広告・マーケティングの伴走支援を担ってきた実績を今回の子会社により、お客さまが抱える広告宣伝やプロモーション、マーケティング分野の課題解決に活用。企業価値向上やデジタル化の推進に貢献していくとのこと。
参考:株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループ「株式会社ビー・ブレーブの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
福井銀行
2022 年9月、株式会社福井銀行と株式会社福井新聞社は、地域のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を目的に、「株式会社ふくいのデジタル」を共同で設立しました。
地方銀行と地方新聞社の対等出資による事業会社設立は全国初の取り組みであり、スマートフォンアプリを通じたDX による新たな体験価値を提供しています。これを機に、持続可能な地域社会・経済エコシステムを創り上げ、福井県に暮らす人々、2024 年春の北陸新幹線福井・敦賀延伸を見据え、福井県を訪れる人々のウェルビーイングを高めていくとのこと。さらに、「株式会社ふくいのデジタル」はDX を活用した地域共創に取り組む大手企業とも積極的に連携。事業協力パートナーには、株式会社電通、株式会社電通コンサルティング、株式会社電通国際情報サービスの 3 社、デジタル決済等のシステム開発パートナーに、凸版印刷株式会社と提携。さまざまな事業へチャレンジしていく姿勢を見せていました。
参考:株式会社福井銀行「株式会社ふくいのデジタルの設立について」
千葉銀行
2023年5月、千葉銀行は中期経営計画目標である「お客さま中心のビジネスモデルの進化」に向けて、広告枠の提供とコンサルティングを主なサービスとする広告事業を開始することを公表。
以前から自行が保有しているノウハウや資産を活かした新規ビジネスを展開していくという動きはあり、広告事業を展開することで媒体としての信頼性をブランディングにつなげていくとのこと。広告媒体業務では、店頭デジタルサイネージやATM上部のディスプレイ、「ちばぎんアプリ」のおすすめ欄などの媒体に地域顧客の広告を掲載。広告コンサルティング業務では、新たにWebマーケティングなどの広告事業を開始したいと考えている中小企業の顧客を対象に、集客や認知向上に効果的な広告戦略を提案していきます。
自行の強みを活かした“今までにない攻めのサポート”で、中小企業にビジネスチャンスを掴んでほしい、「地域の法人と地域のお客さまを結びつける媒体であり続けたい」という想いを込めた、地域に根差した取り組みとなっていました。
参考:MarkeZineニュース「千葉銀行が広告事業を開始 広告枠の提供とコンサルティングサービスで地域企業の課題解決を支援」
参考:ZUU「【千葉銀行取材】銀行の強みを生かした広告事業の背景と今後の展開ー今までにない攻めのサポートとは?ー」
まとめ
銀行業務も新しい時代を迎え、メガバンクや地銀、それぞれが自行の特長を上手く活用しながら新たなサービスを提供していこうとしている様子が伝わってきたのではないでしょうか。
「銀行」という信頼感を活かした広告は、銀行であることのメリットが上手く反映され、地銀は業務の幅が広がったことでより一層、地元企業に寄り添ったデジタル支援が可能になった様子がうかがえました。これから登場する“銀行発”の新サービスに私たちも注目していきます。
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