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低コストで行うアジャイル開発

こんにちは、メンバーズルーツの森です

私は日々Webディレクターとして、地方中堅企業様のサイトリニューアルの設計からその後の改善サイクル実施、効果検証までを支援しています。

支援先の業界は、直近では金融系や小売系、メーカーなど多岐にわたりますが、企業規模が近いこともあり、どの業界の担当者からも「早く成果は出したいけれどコストの面で課題がある。」という共通の悩みの声をいただいています。

今回は、そういった悩みにどのようにお応えしているのか、実際の支援先で実施している、低コストで高速改善を回すプロセスについてご紹介します。

金融系とは異なる業界で実施している改善プロセスですが、地域金融機関様をはじめとする多くの地方中堅企業様で応用できる内容だと思いますので、ご自身のケースに当てはめて「自分の担当領域でこのプロセスを導入するとどうなるか?」をイメージしながらご覧ください。

なお、本記事ではアジャイル(スクラム開発)で用いる単語や考え方が頻出するため、事前に『地銀DXの内製を実現させる「アジャイル」思考と「スクラム開発」』の内容をご覧いただくとスムーズに読み進めていただけます。

はじめに

近年のデジタル化や、コロナウイルスの世界的流行など、予測できない時代の変化に対して、柔軟に対応していくアジャイルの思想がより注目されています。
そういった時代背景の中、弊社もお客様のサイトをただ運用しているだけではなく、お客様のWebによるビジネス成果を向上させていかなければなりません。
限られた時間の中で課題特定から施策実施、そして効果検証まで行い、成果を出していくためにはより効果の高い施策実施を高頻度で行うことが求められています。
そのため弊社でもアジャイル開発の手法のひとつであるスクラムを支援先企業様で取り入れています

ただ、スクラムには様々な役割やイベントがあり、そのすべてを実施し、短期間で改善し続けるのにはやはりそれなりのコストがかかってしまいます。
そういった中で、短期間で改善は続けたいけれど、予算があまりないと言った方々に向けて実際の実案件を踏まえて何をして、何をしていないのかについてお話させていただきます。

5つのイベント

それでは実案件で5つのイベントをどのように実施しているのかをご説明いたします。

5つのイベントとは

・スプリント・・・・・・・・・・・ 一定の期間で区切ってサイクルを回すこと
・デイリースクラム・・・・・・・・ 作業開始前の15分くらいの朝会
・スプリントプランニング・・・・・ スプリントの計画を立てるミーティング
・スプリントレビュー・・・・・・・ 成果物を確認するレビュー会
・スプリントレトロスペクティブ・・ スプリントの振り返りミーティング

具体的に5つのイベントをどう実施しているのか

・スプリント:2週間を1スプリントとする

スプリントが短いと1ヶ月で複数回スプリントを回すことになりますので、その分コストがかかってしまいます。改善スピードの速さ、そして予算を考慮すると2週間に1回のスプリントを推奨しております。

デイリースクラム:基本的に実施していない

MTG等は実施せず、Backlogと呼ばれるプロジェクト管理ツールを使って毎日のタスク管理や進捗管理を行います。

スプリントプランニング:2週間に1回実施。

2週間に1回MTGを実施しておりまして、その際に次のスプリントでのタスクを確認しますが、MTG内では基本時間短縮のため、最終確認のみを行う形を取っております。そのため、タスクの追加や相談などは、Backlogに随時追加していただきます。追加されたタイミングで工数を見積もり、ご担当者に連携、予算と照らし合わせて、直近のスプリントで対応するタスクを決める。その上でMTGを行い確認及び時間と合わせて取捨選択をしていただきます。

・スプリントレビュー:1ヶ月に1回実施

2スプリント分のタスクを合わせてレビューします。その際に次の課題や、改善したいことについての案出しを行います。

・スプリントレトロスペクティブ:基本的に実施していない

基本的な運用時は行いません。運用とは別に大きな改修があった時のみ、行います。

本来はすべてのイベントでMTGが実施されますが、低コストで行う場合、チャットベースで管理できるものは基本的にはチャット等で管理しています。
スプリントは2週間で設定しているため、MTGも基本的には隔週で行っています。どうしてもチャットでのやり取りや隔週のMTG開催だけでは意図が伝わっていなかったりとコミュニケーションのズレが生じてしまう可能性もあるため、そういった問題解消のためにも予め週次でMTGを設定しておき、必要に応じて実施するようにしています。

3つの制作物

続いて3つの制作物に関してのご説明をさせていただきます。
※インクリメントは成果物のため説明は割愛

プロダクトバックログ:Google Spreadsheetsで管理

基本的にはご担当者にBacklogで改善案等のタスクを追加していただきます。(その際優先度は必ず記載。)そのタスクをGoogle Spreadsheetsにコピペして管理。

※社外用と社内用で管理しているため、Google Spreadsheetsにコピー&ペーストしておりますが、Backlogのみの管理でも良いと思います。

リントバックログ:Backlogの「ボード」機能で管理

Google Spreadsheetsに起票された改善案に工数を随時記入し、それを考慮したうえで次回スプリントで対応する範囲を決める。

動いているタスクはBacklogのボードという機能を使い、対応中のタスクや未対応のタスクを管理。

低コストで進めるメリット/デメリット

メリット

・予算が低い場合でも取り入れられる。
・アジャイル開発と基本的には変わらない為、高速改善ができる。
・基本チャットベースでのやりとりのため、時間がかからない。

デメリット

・予算が決まっているため、対応に限りがある。
・基本チャットベースのため、意図が伝わりづらい場合がある。

メリット/デメリットは何をするにしても生じます。取り入れる際にデメリットを受け入れれるか否かが大事になってきます。さらに言いますと、デメリットは工夫することによって可能な限り減らすことも可能です。私の支援先企業様では、対応できる範囲に限りがある中で、大きな改修がある場合には、すべてをその月で対応せず、一部分だけ対応して、残りの作業や公開を次月上旬に回すなど調整を行っております。
大きな改修は細かな改修が重なっている場合が多いため、一旦細分化したうえで一つずつ対応するということが小規模プロジェクトでは大切になります。

さらに、基本的にはチャットベースですが、意図が伝わりづらいものはMTGのタイミングで連携したり、出来る限り画面キャプチャ(スクリーンショット)を貼り付けて視覚情報も伝えたりとコミュニケーションを取るうえでも様々な工夫をしながら対応しています。

まとめ

今回は私が実際に担当している支援先企業様での一例を紹介しましたが、具体的な改善プロセスの手法はチームに任されています。そのため、やり方に正解はありません。基本的な型を取り入れつつ、チーム内で取捨選択しながら、自分たちの成果を出すために必要な形にしていく事が最も重要なのではないでしょうか。
そのため。今回紹介させていただいたやり方も現在はこの形で進めていますが、企業様と一体となり、今後さらに変化を加え、より良い形にしていければと考えています。

皆様もぜひより高い成果を上げるために、高速改善に注力してみてはいかがでしょうか?


執筆 = 森空弥

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