地銀DXの内製を実現させる「アジャイル」思考と「スクラム開発」
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地銀DXの内製を実現させる「アジャイル」思考と「スクラム開発」

こんにちは、メンバーズルーツの瀧澤です。
地方企業のDX推進をご支援すべく、WEBディレクターとして日々奮闘しています。

今回は、前回の記事「不確実な時代に適応する地銀DXのパーパスと組織の在り方を問う」でも取り上げられていた変化に強いチームを作るための思想「アジャイル」と、アジャイルを実践するためのフレームワークの一つである「スクラム」についてまとめてみました。

「アジャイル」や「スクラム」は1から学び、実践していくとなると用語の意味理解だけでも多くの時間を要してしまいます。今回はアジャイル(スクラム開発)を経験した私が、未経験者向けに実施した勉強会の内容をかいつまんで紹介します。

アジャイルとは

アジャイルとは、システムやソフトウェア開発におけるプロジェクト管理手法のひとつで、きっちり計画を立てて実行する従来ウォーターフォール型のプロジェクトの進め方とは違い、短い期間で試しつつ柔軟な軌道修正で変化に対応していく、という考え方が大きな特徴となります。
アジャイルはシステム開発の領域を超えて現在は、研究者・アナリスト・科学者ほか様々な業種や数多くの企業で導入が試行されてきています。 近年のデジタル化や、コロナウイルスの世界的流行など、予測できない時代の変化に対して、柔軟に対応していくアジャイルの思想が注目される要因になっているのではないかと思います。

出典:アジャイルソフトウェア開発宣言

このアジャイルソフトウェア開発宣言に示されている思想がアジャイル開発の根底にあたるものです。顧客満足度を最優先し、関係者はお互いの立場を超えて顔を合わせながらコミュニケーションを取り合い、変化に柔軟に対応しながら価値ある成果物を継続的に提供することを最大の価値として取り組むことがアジャイル開発と捉えられます。

実際に私が実務でアジャイルを取り入れていた時は、顔を見ながらコミュニケーションする事で情報が伝わりやすく迅速に対応でき、日々のタスクをこなす仕事ではなく、より良いものを作るための仕事として開発者もお客様も共にモチベーションを高く維持することができていた実感がありました。

アジャイルと従来型ウォーターフォールの違い

アジャイルと対比される手法にウォーターフォールがあり、この方式にはどちらにもメリット、デメリットがあります。
従来型のウォーターフォールは、あらかじめすべての要求を集めてからコストと期間を確定させ、プロジェクトをいくつかのフェーズに分け、順番に開発を進めていきます。次のフェーズに進んでしまうと後戻りができないため、ウォーターフォールでは事前にたくさんの計画と準備をしなくてはいけません。
ウォーターフォールは綿密な計画を立てれば、明確で予測可能なワークフローでゴールまで成功させることができます。柔軟性に欠けるものの、時間管理や進捗管理には最適ですが、開発途中のトラブルや仕様変更に対応しづらく、戻るための工数とコストが膨らんでしまいます。

アジャイル開発では、あらかじめ仕様変更や修正があることを前提に、短い期間で後戻りしやすいように開発を進めていきます。顧客と密にコミュニケーションを取り、フィードバックを得ながら小さな単位で開発を繰り返す手法なので、計画を調整しやすく、開発中の仕様変更や機能追加など予期せぬ変更にも柔軟に対応しながら品質向上できます。
アジャイルは従来のウォーターフォールとは大きく手法や考え方が変わる為、関係者全員が変化に対する柔軟性を持ち、マインド(意識、思考)を共通化させる必要があります。よって、発注者側・受託者側双方の協力が必要不可欠となり、開発者全員が密にコミュニケーションを取り合いながら、議論を行う必要があります。

スクラムとは

アジャイル開発の分野でよく出てくるワードに、「スクラム」があります。アジャイル開発とスクラムの関係があまり理解出来ていない方も多いのではないでしょうか?
スクラム(scrum)とは、アジャイル開発の手法のひとつで、一言でいうとチームで仕事を進めるためのフレームワークです。スクラムはラグビー用語で肩を組みあって押し合う事を言いますが、ラグビーのチームが一致団結する様を例えられ名付けられたそうです。

スクラムの特徴
スクラム開発には3つのルールがあります。
・3つのロール(役割)
・5つのイベント
・3つの制作物
これらは、あくまで最低限のルールとしてしか用意されていないのでどのように適用していくかは自分達で考えなければいけません。スクラムとスクラムを採用するチームの特徴についてもう少し詳しく説明します。

▪3つのロール(役割)
スクラムにはプロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者の3つの役割があります。それぞれの役割は図の通りとなります。

プロダクトオーナーは、1プロダクトにつき1人となります。基本的にはクライアント(発注者)からプロダクトの責任者として配置されることが望ましいです。
スクラムマスターはスクラムのルールや進め方を全員にレクチャーしながら、環境を整えたり、外部の妨害からチームを守ったり陰ながら支援します。
開発者は最大9名までが望ましく、それ以上の人数は円滑にコミュニケーションを図るのが難しく開発効率が落ちるためチームを分割するのが一般的です。これらのひとつの目標に向かって集まった小さな単位のチーム(3つのロール)をスクラムチームと呼びます。

▪スクラムチームの条件
スクラムを行うにあたってチームメンバーは以下のような心構えを持つ必要があります。スクラムが成功するかどうかは、これらの価値基準を実践できるかどうかにかかっています。
・スクラムチームは、ゴールに向けて可能な限り進捗できるように、スプリントの作業に
 集中する。
・スクラムチームと関係者は、作業や課題を公開する。
・スクラムチームは、ゴールを達成し、お互いにサポートすることを確約する。
・スクラムチームのメンバーは、お互いに能⼒のある独⽴した個⼈として尊敬し、⼀緒に
 働く⼈たちからも同じように尊敬される。
・スクラムチームのメンバーは、正しいことをする勇気や困難な問題に取り組む勇気を持
 つ。
・スクラムチーム内には、サブチームや階層は存在しない。
・スクラムチームは機能横断型で、各スプリントで価値を⽣み出すために必要なすべての
 スキルを備えている。

出典:スクラム公式ガイド – Scrum Guide

▪5つのイベント
スクラム開発では、これらのイベントを繰り返しながらプロジェクトを進めていきます。

・スプリント・・・・・・・・・・・ 一定の期間で区切ってサイクルを回すこと
・デイリースクラム・・・・・・・・ 作業開始前の15分くらいの朝会
・スプリントプランニング・・・・・ スプリントの計画を立てるミーティング
・スプリントレビュー・・・・・・・ 成果物を確認するレビュー会
・スプリントレトロスペクティブ・・ スプリントの振り返りミーティング

実際に現在私のチームでは、デイリースクラム(朝会)を毎日実施しており、チーム全員のタスク共有、進行の妨げになっている障害の共有、体調やメンタルの共有などを行っています。デイリースクラムを実施することにより、問題を解決しやすくなり、全員のタスクを可視化することでフォローしやすい体制になりました。
ほかにも週次で振り返りミーティングを実施しており、KPT「Keep(良かったこと)」「Problem(課題)」「Try(アイデア・次に取り組むこと)」を用いて常に新しいアイデアを取り入れ、目標(ゴール)に向かって進んでいるか、障害になっているものはないか、などの確認を行っています。

▪3つの制作物
スクラム開発では以下の作成物が定義されています。
・プロダクトバックログ・・・・・・作業に優先順位を設定したリスト
・スプリントバックログ・・・・・・スプリント期間分を抜き出したタスクリスト
・インクリメント・・・・・・・・・成果物
近年のコロナ禍でテレワークが普及する前は、全員が見える位置にホワイトボードを設置し、付箋を貼りながらリストの管理をしていました。現在では、主にbacklogというプロジェクト管理ツールを使って進捗管理し、zoom等で定期的にミーティングしながらお客様と共にタスクを共有し、優先順位の決定や目標に対する進捗について話し合いを行っています。

まとめ

スクラムは明確にルールが規定されている一方で、その具体的なやり方はスクラムチームに任されています。各チームメンバーが自発的に考え、学習しあい、時代に合わせて柔軟に、より良い方針やルールを決めていく体制が望ましいのではないかと思います。
私たちは、サービス開発・システム開発の領域だけでなく、デジタルマーケティング運用など他の領域においても、柔軟なアジャイル思想とコミュニケーションを重視するスクラムを取り入れ、顧客企業側と一体となった変化に強いアジャイルチームを作っていきたいと考えています。

次回、今回紹介したアジャイル思想とスクラムをどう地銀DXの現場に活用しているか、紹介したいと思います。

執筆 = 瀧澤初美

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