カードローン利用者の本音を知る!UXアプローチの調査から見えたインサイト
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カードローン利用者の本音を知る!UXアプローチの調査から見えたインサイト

はじめに

はじめまして、メンバーズルーツカンパニーのデザイナーの林です。

私たちは主に地方銀行さまを対象に、クライアントの成果向上に向けてデジタル領域でのご支援を行っています。地方銀行さまとその顧客への理解を深めるため、今回はカードローンに関するユーザー調査を実施しましたのでご紹介いたします。

メンバーズルーツのUXデザインについて

メンバーズルーツでは、UXデザインLab.という勉強会を立ち上げ自主的に顧客理解を高める活動を行っています。より幅広いユーザー体験を考慮したサービスを提供するために、定期的に社内メンバーでテーマを絞り、ユーザーインタビュー、ペルソナ作成、カスタマージャニーマップを作成するなど、ユーザー理解を高めるためのワークショップなども実施しています。今回は、カードローンに関するユーザー調査を行いましたので、その内容について紹介します。

今回の調査テーマはカードローン

地方銀行さまからの多く寄せらせる相談内容としてはローン関連の内容が多く、特に無担保系のローンページに力を入れているケースが多いです。このため、今回の調査は、地方銀行のカードローンLPにて、新規ユーザー向けの施策を検討・実施するという仮想のテーマを設定し、ユーザー調査を実施することにしました。

調査で知りたい内容をまとめると以下の3つとなりました。

・カードローンを検討するきっかけ
・新規ユーザーが、金利・審査スピードなど、どのポイントに興味を持つか
・カードローン利用者の消費行動に共通点があるか

UXアプローチでの調査手順とは?

調査の流れは以下の通りです。

1. アンケートの実施

カードローン(カードローン以外でも金融機関から融資を受けた経験がある方)を対象にアンケートを実施しました。調査項目としては、普段のお金の使い方や生活費以外のお金の使い方、収入を超えた出費が発生した場合の行動、金融機関から融資を受けたことがあるかどうかを尋ねました。

2. ユーザーインタビューの実施

アンケートの回答から、知りたい内容に近い回答者をピックアップし、アポイントメントを取り、実際にユーザーインタビューを実施しました。事前に聞きたい内容のヒアリング項目を準備し、それに沿ってインタビューを実施します。聞く順番については、状況を見てインタビューアが調整します。
インタビュー終了後は、内容を文字に起こし、マーキングを行います。マーキングでは、知りたい内容に近い項目や、ユーザー行動として重要と思われる箇所をマーカーしていきます。

3. 価値マップの作成

ユーザーインタビューで重要だと思った項目にマーカーをつけた項目から、KA法に基づいてまとめました。出来事、心の声、背景にある価値を一つのデータにしたKAカードを作成し、その価値部分に焦点を当ててグルーピング・構造化し、体験価値の全体像を視覚化します。

4. ペルソナの作成

価値マップやインタビューデータから、カードローン利用者のプロファイルを作成し、その人物像を詳細に設定します。年齢や性別などの基本情報から性格まで、プロファイルを明確化することで、実際の施策を検討する際に認識のずれを減らし、精度を高めることができます。

5. カスタマージャーニーマップの作成

各種データで得られた情報を基に、カードローンの興味・比較・検討、利用のフェーズにおいてのタッチポイントや思考感情曲線を考慮し、カスタマージャーニーマップを作成します。この視覚化により、要点を抑えた施策案を立案することができます。

以上の流れで調査を進めることで、より深い理解を得ることができます。

カードローンユーザーのUX調査結果

1.アンケートの調査結果

メンバーズ社員にアンケートを送付したところ、217人からアンケート回答を得られ、回答者の約8割が若年層でした。性別は男女半々で、金融機関から融資を受けた方は5%で、そのうちカードローンは1.8%の結果でした。

カードローンで借りられた理由は、「借りやすそうだったから」「使用しているクレジットカードに信用があったから」「個人事業主時代に生活費を借りたかったが、消費者金融よりも銀行のカードローンの方が安心感があったから」「人に迷惑や心配をかけるのは嫌なので」など、安心感や信頼感などを重視して借りているケースが多いことがわかりました。

2.ユーザーインタビューの調査結果

上記アンケートに回答をいただいた中で、地方銀行やその他金融機関などで、過去にカードローンを利用した経験がある人をピックアップして、より詳細なインタビューを実施しました。

趣味で使用したお金で生活費が足りなくなり、補充として融資を受けた経験があり、金利などは気にせず衝動的に借りたとのことでした。情報収集には、金利シミュレーションや借りられる場所などをWebサイトで調べたとのことです。借入額や手続き完了までの時間、最短で利用可能など、手元にお金が入るまでの時間を重視されているようです。

3.価値マップの調査結果

上記ユーザーインタビューからKA法を使って整理すると、わかった価値としては、好きなことにはお金を惜しまず、生活費を超えた出費でやるほど夢中になれる趣味の価値や、場所・タイミングが自由で、すぐに借りられる価値があることがわかりました。

4.ペルソナの調査結果

ペルソナからわかったこととしては、自分ではコントロールできていたつもりが、趣味と言いつつも夢中になりすぎてコントロールできなくなり、生活費が足りなくなり、あまり考えずにお金の融資を受けてしまう傾向があることです。また、趣味でお金を稼ぎたいという気持ちはなく、趣味としてお金を使っている傾向があることもわかりました。

5.カスタマージャーニーマップの調査結果

今回のカスタマージャーニーマップから、カードローンを検討するユーザーは、信頼性と安全性が重視されると同時に、手軽に利用できることがユーザーにとって魅力的であることがわかりました。そのため、契約までにかかる時間を事前に明示するなど、ストレスを軽減させる構成がユーザーにとって好ましいという結果となりました。

さいごに

UXデザインのアプローチを通じで、カードローンを使用するユーザーは、信頼性と安全性が重要ですが、それだけではなく、お金を借りるまでの手続きが簡略的であることがユーザーの価値としてあることがわかりました。手数料や利息など、ユーザーが判断基準として重要視している情報をわかりやすく訴求し、実際にどれくらいのスピードで借りられるかをユーザーに伝えることで、体験価値向上につながるため、Web広告やWebサイトなどで訴求する際には、上記が伝わるアプローチをすることが大事だと判明しました。

今後も、顧客理解を高めて、精度の高い施策提案などを行っていきたいと思いました。

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