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出向で武者修行!デジタル人材の育成に役立つ地銀のDX人材強化

みなさん、こんにちは。メンバーズルーツカンパニーの広報担当です。

今回は、いま地方銀行(以下、地銀)で大きな課題となっているDX人材の育成に向けた取り組みについての事例を紹介していきます。

今後、確実にDXを進められる人材を育成することは地銀にとって必要不可欠な取り組みであり、今回は既にそれらを実践に移している地銀や具体的な内容について調査してみました。

デジタル人材の育成に悩みを持つ地銀の担当者さまは、ぜひご覧になってください。

DX推進の課題は人材育成

DX推進は、地銀を含め殆どの業界でますますスピーディーな対応が必要とされる時代に突入しています。これまで、デジタル開発については外部のベンダー任せといった地銀も多かったかもしれませんが、近年のDX推進では、「内製化」や「アジャイル開発」というキーワードも頻繁に耳にしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。やはり、自社内で開発をすることや、短期間の間に開発~テスト~運用(リリース)を小さな単位で繰り返すことによって、新機能の追加や既存システムのアップデートまでの期間短縮が可能になります。

しかしながら、多くの地銀で上記のような開発体制を整えることや、自社のビジネスを深く理解した上でDXを実行できる人材を確保することは、なかなか難しい状況になっています。 地銀でDXを確実に進める推進力を養うには、店舗での経験やシステム知識にプラスし、大きな枠組みで自社のビジネスを捉え、理解する力も必要です。

店舗での営業経験を出向先でのフィンテック企画に活用

このように、多くの地銀でDX人材確保に悩む中、伊予銀行の取り組みは参考になるかもしれません。

伊予銀行は、以前の記事「伊予銀行から学ぶ顧客体験の向上を軸としたDX戦略」でも紹介しており、「Gomez地方銀行サイトランキング2022」で1位に選ばれるなど注目度が高い地銀です。

そんな伊予銀行のDXの推進の基盤には、人材育成があるようです。中堅以下の出向者を増やし、行員のスキルアップに向けた対応をしていました。 法人営業からフィンテック関連の事業強化を目的とする会社の総合企画部への出向対象となった行員の事例では、出向先でこれまでの店舗業務の経験を活かし、他社のノウハウを取り込む機会として自身の成長に繋げていました。アプリ開発プロジェクトに携わった際にも、過去の経験をもとに未来の銀行の在り方をイメージしながらプロジェクトを遂行したとのこと。このような経験は、再度銀行へ戻った後でもデジタル面とこれまでの営業経験の両方が強みとなり、新たなフィンテック商品やサービス企画へと繋げられるのではないでしょうか。

出向先は地元企業から海外まで!スキルアップや地元経済への理解を深める

また、伊予銀行が選ぶ出向先には、一見、銀行業務とは関わりが少ないように見える企業もあります。

例えば、地域資源を活かして観光促進・地域経済活性化に資する戦略を立案・実行する会社であったり、出向先は海外の大手銀行にまで及んでいました。

これらは、顧客支援の幅を広げ、地域経済との関係を深めることや、中小企業の課題を発見する目を養うことにも繋がります。海外の出向であれば、現地での業務経験や市場分析が役に立ち、海外進出を見据える企業へのアドバイスや提案なども可能となるでしょう。

出向や出向の受け入れで新たなニーズを見出す

伊予銀行の事例を中心にピックアップしてきましたが、実はこのような取り組みは伊予銀行に限った話ではありません。その他の地銀でも出向や他社からの人材を受け入れるなど、DXを推進する人材を育成させるための協業が活発になっています。

武者修行や業務提携を通じた戦略的協働

傘下に常陽銀行、足利銀行を持つ、めぶきフィナンシャルグループでは、4月から始まった3ヶ年の第3次グループ中期経営計画にて、デジタル技術を使ったビジネスモデルの変革を掲げていました。その中でデジタル技術を使った非対面サービスの強化や、異業種への出向で行員を育成するなど多面的なDX推進策を構想しています。

他にも、千葉銀行は昨年8月、インターネット関連企業「株式会社チェンジ」との業務提携を発表していました。これは、戦略的協働パートナーとしての提携であり、業種の枠をこえ、新たな領域における事業開発、DX人材の育成や自治体へのDX支援を目的にしたものです。地域ブランド商品等の企画や販売、EC運営、クラウドファンディング運営などを手掛ける地域商社「ちばぎん商店」を通じて、地元の特産品やサービスの販路拡大やコロナ禍に対応した支援を実施。行員の研修や出向、人事交流を通じてDX人材の育成に繋げています。

他社からの出向受け入れで業種を越えた新規ビジネスを創出

また、十六銀行を傘下に置く十六フィナンシャルグループでは、他社からの出向による人材の受け入れを実施していました。これは、ソフトバンク株式会社との協業であり、十六フィナンシャルのグループ企業、及び、ソフトバンク社が有する技術、資産、ノウハウ等を有効に活用し、地域の活性化、地域社会への貢献をはかるという目的によるもの。部長級の社員2名の出向を通してオープンイノベーションによる新規ビジネスの創出などが見込まれています。

まとめ

地銀のDX推進において人材不足が大きな課題となっていますが、異業種への出向等を通した新たな方法で人材育成に取り組む様子が感じ取れたのではないでしょうか。

しかし、これらの人材育成には時間が掛かるという問題もあり、さらに、DX推進人材にはデジタルの知識を保有していることや自社・他社での経験、統率力に優れていることなど、多くの要素が必要であると考えられます。

現在も引き続き人材育成に苦戦している地銀デジタル担当者さまも多いかもしれません。この機会にデジタル企業との提携でスピーディーなDXを実現してみてはいかがでしょうか。 次回もまた、最新の地銀DXに関する取り組みをご紹介していきます。

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