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伊予銀行から学ぶ顧客体験の向上を軸としたDX戦略

みなさん、こんにちは。メンバーズルーツカンパニーの広報担当です。

我々は地方企業様のWebによるビジネス成果のご支援をさせていただいております。日々の業務を進める中で、多くの地方銀行地方銀行(以下、地銀)の方々からお問い合わせやご相談をいただいております。そのため、地銀の現状やDX推進の動向に常に目を光らせております。

今回は、地方銀行(以下、地銀)サイトのランキングを元に、上位を獲得した地銀にスポットを当てながらデジタル化を推進するうえで必要な戦略について考えていきます。Webサイトの重要度がますます高まる中、デジタル戦略に行き詰まりを感じている担当者さまの参考となれば幸いです。

地銀サイトランキングの結果とその理由

4月に「Gomez地方銀行サイトランキング2022」が発表されています。こちらは、国内地方銀行が提供するウェブサイトの機能性と使いやすさ、掲載されている情報やコンテンツを総合的に評価することを目的に、全国の第一・第二地銀99行の中で付けられたランキングです。

地方銀行サイトのログイン前の一般向けサイトに焦点を当てたものになっており、他の地銀のサイトから取り入れるポイントや学ぶべきポイントもチェックすることが出来ます。地銀のデジタル対応の潮流も感じ取れますので、ぜひ確認してみてください。

上位3行はオンライン完結型サービスが増加

今回の総合ランキングで上位を獲得した3地銀をピックアップすると、1位が伊予銀行、2位が群馬銀行、3位が横浜銀行という結果になっていました。

また、全体的なデジタル化への取り組みの傾向として、オンライン完結型サービスが増加しているようです。

例えば、来店不要のオンラインのローン手続きをリリースした地銀のニュースなどは、みなさまも目にした事があるのではないでしょうか。

その他、ヘルプやサポート対応専用のチャット機能の導入、オンラインセミナーなども併せて非接触型サービスのコンテンツは広まりを見せています。

コロナ禍の中で他業界も含めたオンライン完結型のサービスが増えたのと同時に、ユーザーがデジタルコミュニケーションに触れる機会も増加しました。今後はさらに、ユーザーも非接触型サービスを抵抗感なく取り入れていくと思われます。

また、その中の課題として取り上げられていたのは、マルチデバイス化対応です。スマートフォン最適化が進む一方で、タブレット等のデバイス環境に応じたレスポンシブ対応の達成度は低いとのこと。

鮮度の高い情報等はPCサイトの充実度に追い付いていないようなので、常にスマートフォンを持ち歩くユーザーのためにも早めの実装で対応したい課題です。

地銀ランキング1位の理由は使いやすさ

初めての総合第1位を獲得した伊予銀行は昨年の総合6位からランキングを上げる結果となっており、カテゴリ別では、「機能性・使いやすさ」で1位、「商品・サービス情報の充実度」で8位となりました。

入力フォームの最適化に伴う入力内容に応じた文字種変換や入力エラーのリアルサポート機能を取り入れていたこと、支店ページにてATM混雑状況の目安表を提供するなど、全体を通してユーザーに寄り添う細やかなサービスが行き届いていたことが評価されていました。

伊予銀行が重要視するのは顧客体験の向上

なぜ伊予銀行はユーザーに寄り添う細やかなサービスを提供出来たのか

伊予銀行のさまざまなデジタルサービスを紐解いていくと、そこには人間中心の「D-H-D(デジタル・ヒューマン・デジタル)Bank」という、伊予銀行が目指すビジネスモデルがありました。

サイトのメインキャッチコピーにも、『銀行を、人に合うかたちへ変えていく。』と掲げているように、伊予銀行はユーザーに使いやすいサービスにより、顧客体験の向上を最重要視しているからです。

顧客体験の追求によって真に選ばれるサービス

伊予銀行では2019年にタブレットアプリ 「伊予銀行 店舗受付AGENTアプリ」を各店舗に導入したことでグッドデザイン賞を受賞しており、タブレットを持ちだし「どこでも銀行」を実現。“書類に記入して、印鑑を押す”そんな当たり前をなくしたいという想いを形にしたもののようです。

デジタルを適材適所に取り入れつつ、過疎地域や来店しにくい高齢のお客さまへの展開も考慮していました。

さらに、伊予銀行では数年前の段階で営業エリアの人口減少に伴いビジネス環境が厳しくなることを見据えており、デジタル活用を前提とした顧客体験や業務フローの組み立て直しを行っています。

こちらのタブレットアプリも面倒で時間がかかる銀行手続きを一問一答のチャット形式にリデザインし、誰でも簡単に使えるシンプルなUXに変革することによって、手続きにおける待ち時間を大幅に削減していました。

この受賞からも、顧客体験を軸に企業改革をしているからこそ、使いやすさを重視したサイトやアプリやサービスが誕生していることが感じ取れます。

顧客体験を向上させることで事務作業も軽減する

伊予銀行から昨年リリースされたスマートフォンアプリ「AGENT」は、全国初のビデオチャットを用いた銀行手続きアプリです。

こちらのアプリはスマートフォンを使用し、ユーザーが自宅にいながら銀行の窓口と同じ体験ができる「手のひらの銀行」を実現したもの。

上記のタブレットアプリからより一層、利便性を高めたものとなっています。残高照会や定期預金の口座開設などの機能も搭載されており、日常的に使われる機能を順次加える予定であるとのこと。

また、顧客体験を向上させるデジタルサービス自体が、行員の事務作業の削減にも繋がっているという点も、企業改革の視点で注目するべきポイントです。

まとめ

地銀サイトのランキングで1位を獲得した伊予銀行のサービスや、サイトの使いやすさを向上させる工夫を参考にすることによって、デジタル化の本質が感じ取れたのではないでしょうか。

最新のサービスや取り組みを見聞きすることで、地銀側はデジタル化を急ぐためにそれらを取り入れたくなってしまうかもしれません。

しかし、今回の伊予銀行の事例を振り返ってみると、その中にユーザーの視点(=顧客体験)が取り入れられているかどうか? を改めて鑑みる必要がありそうです。

単なるデジタル化を越え、顧客体験を軸に、使いやすさを重視したサービス開発をすることがDX推進の核である事を忘れないようにしましょう。

次回もまた、最新の地銀DXに関する取り組みをご紹介していきます。

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