ホーム > 【投資編】地方銀行・地方中堅企業におけるDX事例まとめ(2021年7月)

【投資編】地方銀行・地方中堅企業におけるDX事例まとめ(2021年7月)

みなさん、こんにちは。メンバーズルーツカンパニーの広報担当です。

今回は、メガバンクやネット銀行の取り組みを中心に、投資のきっかけにもなる新しいデジタルサービスについてまとめてみました。地方銀行(以下、地銀)のサービスとして参考にできるサービスが登場しているかもしれません。ぜひ、ご覧ください。

「ポイ活」で投資!? 気軽に投資が始められるポイント運用サービスがスタート

銀行の営業担当者さまは、若年層や専門知識がない方に対し、投資に関するサービスを紹介する機会がない、説明しても受け入れられにくいという課題をお持ちではないでしょうか。

そこで、取り入れ始めているのがポイントを活用したサービス。現在、多くの方が「ポイントカード」や「クレジットカード」、「ポイントアプリ」等を使用しながらポイントを貯めたり使ったり(=ポイ活)しています。メガバンクなどではこれらのポイントを使った投資サービスが展開され始めていました。ポイント運用は身近なものなので、ユーザーにとって投資に対するハードルを低くすることができます。また、投資の感覚を掴むきっかけにもなるため、投資の入り口として活用していくことで、その他の投資信託の購入などに繋げられる可能性も広がります。

以下でご紹介する事例は「興味はあるけれど、どうやって始めるのか分からない」、「難しそうで手が出せない」など、そんな投資未経験者が投資を始めたくなるような、投資のハードルを下げるデジタルサービスです。

ITmedia ビジネスオンライン: 三菱UFJ銀行、ポイント運用サービスを今秋開始

三菱UFJ銀行が、ポイント運用サービスを提供する「STOCK POINT」と組み、ポイント運用サービスの提供を今秋に開始することを発表しました。これは、株式価格に連動してポイントが増減する仕組みとなっており、運用するポイントが1株の価格相当以上になると実際の株式に交換することもできます。実際の株取引との違いは、金融機関への口座開設が必要なく簡単に投資の疑似体験が行えること。「STOCK POINT」の既存サービス利用者は8割が20代から40代の若年層、3割が投資未経験者のため、若年層の投資のきっかけにもなりそうです。
また、ポイントは市場規模が2兆円を超えているといわれ、各社が提供するポイント運用サービスの利用者は数百万人規模に増加しているもよう。三菱UFJ銀行も6月より銀行サービスの利用に応じてPontaポイントが貯まるサービスも開始しており、ネットバンキングのログインや投信積立などでポイントを付与する施策を行っています。

Impress Watch:三井住友カード、SBI証券の投信積立に対応。Vポイント投資も

三井住友カードとSBI証券は、6月より三井住友カードが発行するクレジットカードで投資信託が買える「投信積立サービス」を開始しました。さらに、SBI証券での取引状況に応じてSMBCグループの「Vポイント」が貯まるサービスも開始しています。
これは、SBI証券の投信積立サービスの利用者が拡大していることから、同サービスの利便性向上を目的とし、三井住友カードが発行するクレジットカードで投資信託の積立買付に対応したもの。三井住友カードのWebサイト経由でSBI証券の証券総合口座を開設した人を対象に、国内株式等の買付や投資信託の保有残高など、資産運用でVポイントが貯まる「Vポイントサービス」を提供します。「投信積立サービス」では、5万円/月を上限とし、三井住友カードが発行するクレジットカードでの決済に対応。決済金額の0.5%分の「Vポイント」が付与されます。クレジットカードによる投信積立は証券口座への入金が不要で、クレジットカードの決済金額に対しVポイントが付与されるため、現金による投信積立よりお得に積立投資を続けられるサービスとなります。

Impress Watch:auじぶん銀行、行名変更1周年。通信・証券連携で資産づくり

auじぶん銀行の臼井朋貴社長は、auとPontaの顧客基盤を生かしたauフィナンシャルグループ「スマートマネー構想」の中核企業としてスマホ銀行の取り組みを進めています。直近の2年で預金残高は7,600億円を積み上げ、順調に拡大中。住宅ローン取扱高は、開始から約5年で1.1兆円になったとのこと。その一方で、日本は資産形成については米国などと比較して資産運用にまわる金額が少ないことに言及し、「au PAYポイント運用」の活用をアピールしました。
臼井社長は、長期分散投資による安定した資産形成に向けた入り口のサービスとして「まずポイントで試して投資を実感してほしい」と説明。その他、投資に慣れた人にはauカブコム証券の活用を促すなど、投資初級者から上級者までの資産形成をサポートしていることを伝えていました。

今後は、JICベンチャー・グロース・インベストメンツの他の投資先企業との連携を通じ、住宅ローンのさらなる最適化を目指すとともに、引き続きユーザー目線に立ったサービスを追求。また、あおぞら銀行グループが培ってきた地銀とのネットワークを軸に、オンラインで住宅ローンが比較・申込ができる「モゲチェック」の地域金融機関への導入をさらに加速させ、住宅ローン業務のオンライン化の推進、日本の住宅ローンプラットフォームの定着を図っていきます。

「デジタル」と「人」のハイブリッドなサポート体制で資産運用に安心を

専門知識や経験を持っていない限り、ユーザーにとって投資や資産運用には不安が付きまとうものでもあります。そのような背景に注目し、メガバンクや証券会社では、ユーザーの気持ちに寄り添い、資産運用などに取り組んで行けるようなサービスを展開し始めているのかもしれません

近年ではデジタル化があらゆる分野で進んでいますが、デジタルによって利便性を向上させるだけではなく、その先でユーザーの価値を見出せるような新しい形のサービスが求められています。デジタル化によって事務作業などの時間が削減できれば、空いたリソースをユーザーへのサポートに充てることは可能になります。ユーザーもより丁寧なアドバイスやサポートを受けることで、積極的な資産運用に取り組んで行けるのではないでしょうか。

以下でご紹介する事例では「デジタル」を有効活用したうえで「人」がユーザーの不安を解消し、サポートしていくものとなっています。

Impress Watch:ゆうちょ銀行、「オンライン相談」開始

ゆうちょ銀行では5月より、スマートフォンやパソコンを使って自宅等から資産運用商品や住宅ローンに関する相談ができる「オンライン相談」を開始しています。これは、投資信託などの資産運用商品や住宅ローンに関する相談を、非対面かつオンラインで利用できるサービス。従来の方法に加えて、新たなコミュニケーション手段として導入されました。説明資料などを画面上でも確認できることから、対面と同様の相談サービスを受けることができます。オンライン相談を希望する際には、事前にゆうちょ銀行直営店に相談内容や希望日時について連絡、アプリでの利用を希望する場合は、オンライン相談日の前日までにアプリ「Webex Meetings」(無料)をインストールする必要があります。
オンラインでできる相談内容については、個人の場合は資産運用および住宅ローンに関する相談、法人の場合は給与振込の導入およびゆうちょBizダイレクトの導入に関する相談です。内容によっては直営店等での対面の手続きを案内する場合もあるとのことなので、申し込み時に必ず確認しましょう。

Impress Watch:孤独な資産運用をロボット+担当者で解決、フィデリティ証券

フィデリティ証券は、ロボットアドバイザーと担当者のアドバイスを組み合わせた個人向けの資産運用サービス「ザ・ハイブリッド」の提供を開始しました。最低契約金額は、アドバイス担当者付きコースが300万円、アドバイス担当者が付かないネット完結コースが1万円。手数料(参考値)は、アドバイス担当者付きコースが預かり資産の年率1.52~1.58%、ネット完結コースが0.97~1.03%となっています。また、担当者によるアドバイスが不要になったと感じたらネット完結コースに変更もでき、ネット完結コースでも質問・疑問はコールセンターに問い合わせることが可能です。両コースに共通するのは、実際の運用には著名な資産運用会社の担当者が携わること。7種類のポートフォリオはそれぞれグローバル株式、ハイイールド債券などさまざまなものが組み合わされ、年1回の見直し(リバランス)のほか、毎月をめどにリバランスも実施しながら超過収益の獲得を目指します。約8割にも上るという資産運用に自信が持てないユーザーが、周囲や専門家に相談できず“ワンオペ”になっている問題を解決するものとして、今回のサービスを提案しています。

まとめ

日本では投資が浸透しにくいというイメージもありますが、今回ご紹介したようにメガバンクやネットバンクは新たなサービスを続々と登場させています。

これから投資や資産運用を多くの方へ広めていくためには、手軽に取り組めることやサポート体制が手厚いこともユーザーに興味を持ってもらうための重要なポイントになるかもしれません。デジタルによる業務の効率化から、どんな新サービスが生み出せるかを改めて考えてみてはいかがでしょうか。

今後、非金融分野で新たな価値を提供するためには、店舗をはじめとした既存業務の効率化に伴うリソースの確保が必要となってくるでしょう。そして、これからの地銀には生産性の向上と新規事業領域開拓の両軸を実現するためのDX推進が求められます。そのため、DXもミッションのひとつとして進めて行かなくてはなりません。

SHARE

このライターの最新記事

閉じる