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愛知銀行のDX人材育成チャレンジ 分析基盤構築・PDCA改善の教育伴走支援

株式会社愛知銀行様は、愛知県名古屋市に本店を置く地方銀行です。

「地域社会からの信頼を大切にし、地域社会の繁栄に貢献する」という経営理念のもと、お客さま本位の良質な金融サービスを提供することを目指されています。
そんな株式会社愛知銀行様では、お客さまの利便性を追求した非対面チャネルの強化を目的に、2022年10月にデジタル戦略部門が立ち上がりました。メンバーズルーツカンパニーでは、デジタル戦略部門の立ち上げメンバーの一員として、2023年4月から行員さまと一緒に目標設定、分析基盤構築、改善を行うご支援をさせていただいてきました。
2025年に中京銀行との合併を控える中、行員さまのデジタル人材への1年間の伴走支援で起こった行内の変化とは。
時代の変化に適応し、チャレンジを続ける地方銀行の成功事例をご紹介します。

〈お話を伺った方〉
株式会社愛知銀行 デジタル営業部 グループリーダー 青木さま(写真中央)
株式会社愛知銀行 デジタル営業部 馬場さま(写真右から2人目)
※写真右から1人目は、大嶋さま ※今回写真のみの登場
※本文中は敬称略とさせていただいています。(肩書きは取材時点)
取材日:2024年3月1日
聞き手:メンバーズルーツカンパニー プロデューサー 三角 恭平(写真左から2人目)
書き手:メンバーズルーツカンパニー プロデューサー 佐々木 悠花(写真左から1人目)

非対面での営業を目的に発足したデジタル営業部

デジタル営業部が発足してから1年、当初掲げていたチームミッションや業務領域について教えてください。

愛知銀行 青木:元々は対面・非対面に関わらずアプローチする営業統括部がありましたが、チーム分けをすることになり、非対面の営業部門であるデジタル営業部ができました。当初掲げていたミッションは、非対面で取り込んでリアルに送客するというものでしたね。

非対面接点で特に注力しているのは、どのような商品やサービスでしょうか?

愛知銀行 青木:商品とサービスでいうならば、メインはインターネットバンキングとアプリです。

部署が発足した当時の体制や状況を教えてください。

愛知銀行 青木:部署としては数十名体制ですが、企画部門担当だけで言うと、当時は行員が6人、派遣社員が1人の7人体制で始まりました。今は発足当時と比べると3人増えて、10人体制です。

その人数感は、扱われていた商品やサービスに対して見合っていたのでしょうか?

愛知銀行 青木:設立当初は、分析スキル・人材リソースが足りていなかったように感じますが、その中でも部署のメンバー全員の力を合わせて乗り越えてこれたと思います。

実際にメンバーとして働かれている馬場さんの目線でいうといかがですか?

愛知銀行 馬場:そうですね。やりたいことはたくさんあるのですが、分析の面においては、もっと計測ができたらいいなというのは当時ありました。
ただ、メンバーは一人ひとり生産性が高いなとか、覚えが早いなとか、私から見ても周囲の方々の仕事振りは尊敬する点ばかりです。

チームが小さく、一人当たりのやることが多いからこそですかね。

愛知銀行 馬場:はい、そうだと思います。得意分野が一人ずつ伸びていっている感じがしますね。

「計測する文化」がないことへの課題感

メンバーズがご支援に入る前、組織としてはどのような課題感がありましたか?

愛知銀行 青木:「計測する文化」がまずなかったことですかね。文化もないし、やれる人もいないし、やったこともないしという。改善したくても現状がわからないと何をするべきかわからないので、まずは現状把握したいという思いがありました。問題解決には、現状把握をすることが全体の8割を占めるとよくいわれますしね。

そこが組織のシステム面での課題だったとすると、人材面では当時どのような課題がありましたか?

愛知銀行 青木:そもそも計測の方法を教えてくれるような人がいなかったことです。教えてくれる人をどこからとってきていいかもわからない。そういう状況でした。本当に最初は何から手を付けていいかわからなかったです。

それでは、これまで愛知銀行さんでは、キャンペーンだったり何か施策を打つにしても、データから考えるのではなく、シニアの方の経験や勘頼りだったということでしょうか。

愛知銀行 青木:その通りです。一応、ベンダーさんから定量的な成果を聞いたりはしていました。ただし「今回はよかったです」と言われて「あ、そうですか」で終っちゃうといったような感じです。それは良くないとわかっていましたが、改善しようにもベンダーさんが何を言っているのかわからないから会話が成り立たない、という状態でした。

「計測する文化」がないことへの課題感

自行での知見蓄積を目指して開始した、伴走型のDX人材育成

そのような状況でDXを推進するにあたって、パートナーとしてメンバーズを選定した理由を教えてください。

愛知銀行 青木:デジタル営業部が発足する1年ほど前、SARBLAB※1でメンバーズさんと西日本シティ銀行さんの内製UI/UX事例のセミナーに参加しました。そのときに初めて、メンバーズさんのことや、DX内製化の伴走型支援について知りましたね。同じ地銀共同センター行※2の中でも、外部のパートナーと連携して「自社に知見が蓄積される形」でWebサイトやアプリを運用している銀行があるんだと知って、興味を持ちました。
デジタル営業部ができる前から、そのような取り組みが絶対に必要だという話は出ていましたが、実際これを担当する部署がないよな、と。
デジタル営業部が発足した時にまず部長に提案したことが、メンバーズさんに伴走型のDX人材育成を依頼することです。これから非対面営業の分析に取り組んでいくに際し、ノウハウが絶対に必要なので、人材育成のための支援をお願いしたいという話をしました。

※1…SARBLAB《DIGITAL/SDGs》https://www.dainichiginkyo.or.jp/aboutus/sarblab.html
※2…地銀共同センター(NTTデータ)

銀行内で合意を得るのは難しくありませんでしたか?

愛知銀行 青木:デジタル営業部のメンバーは全員モチベーションが高く、特に部長は「デジタル営業部に必要なことであれば、是非チャレンジしてほしい」というスタンスだったからこそ、理解していただいて合意を得ることができました。

メンバーズではご依頼をいただいて、週1回リモートのMTG、月1回御行に出張しますという内容で提案をさせていただきました。そのような提案を受けての印象や、何か懸念などはありましたか。

愛知銀行 青木:最初の提案では月1回の出張がなかったですよね。そこが正直ネックでした。1年お付き合いさせていただいて、私共もメンバーズさんも感じていると思いますが、やっぱりリアルで会うことは月1でも必要なんだなと感じています。
この月1回をいかに有効に使うかというのがありましたし、実際に会うことでお互いの距離感も変わりましたよね。

そうですね、最初と比べると本当に距離が近くなったと感じます。

自行での知見蓄積を目指して開始した、伴走型のDX人材育成

分析基盤構築・PDCA改善の教育伴走支援

メンバーズとしては、1年間のプランを通して大きく3つのフェーズに分けてご提案していました。まずは基盤を構築して分析できるようにする、次に得られたデータを活用してまずはアプリの成果向上に向けて運用改善を行う、そしてそれらを横展開させて他の商品やサービスにまで普及させる、というように進めていったと思います。

1つずつ掘り下げていきたいと思います。分析基盤を構築する最初の段階で、当初予定していた広告計測SDKの導入ができないという事態が発生しました。このようにいきなり壁にぶつかったことについてはどう思われましたか。

愛知銀行 青木:正直残念でしたけど、致し方ないですね。アプリとWebの計測の仕方やツールが違うということすらわかっていなかったので、そういうものなんだなと理解することはできました。

やっぱり本業は銀行業なのでインプットも難しいですしね。

愛知銀行 青木:それもありますし、アプリの計測自体がわかる業者が少ないと感じています。Firebase※3のことを周りの人に数人聞いてみましたが、みんな「わからない」と。「聞いたことはあるし、どういうサービスかはわかるけど使ったことはない。」と言っていました。だからそれだけでもだいぶ違いましたね。

※3…Firebase:https://firebase.google.com/?hl=ja

そうだったんですね。

宿題形式で取り組んだダッシュボード作成とその活用

既存のデータツールを使って分析設計、設定をし、そこから数値を見える化するためのダッシュボードを作成しました。この時は、宿題形式で馬場さんに手を動かしてもらいながら進めましたね。
馬場さんは我々の想像以上に意欲的に宿題に取り組んでくださり、その姿勢が素晴らしいなと思っておりました。
そのときの心境や、ご自身で努力された節があったと思うんですが、お聞きしてもよろしいでしょうか。

愛知銀行 馬場:学生の頃から定量計測の必要性については学んでいたので、それを仕事でも活かしたいと考えていました。メンバーズさんからのご支援が始まり、GA4やGTMについてはわからないことばかりでしたが、学びたい気持ちとスキルを伸ばさないといけないというプレッシャーから、本を買って自主的に勉強をするようになりました。自分だけでは理解しきれない部分は、メンバーズさんの常駐日に質問して記憶を定着させました。

素晴らしいですね。
分析基盤の構築が終わり、続いて運用のフェーズに入っていったと思います。
アプリの領域だけでなく、投資信託関連のページも計測しながら、施策を考えていきました。その中で、愛知銀行さんで実感していただいている成果や変化を教えていただきたいです。

愛知銀行 馬場:KPIの測定・定量化により、自動で積み上がったデータを日々確認する習慣が醸成されました。また、ダッシュボード化によって情報が部内全員に共有されるようになり、数字に関する議論が活発化したと感じています。
人材育成面でいうと、個人としてはほとんどなかったWebの知識を大幅に向上させ、自身のモチベーションも高められました。

宿題形式で取り組んだダッシュボード作成とその活用

座学だけでは終わらない伴走支援の成果

ありがとうございます。とてもいいお話を聞けました。
青木さんはメンバーズの支援内容に対して、ご感想はありますでしょうか。

愛知銀行 青木:そうですね。過去に1回、外部の方に勉強会をしてもらったことがあるんですよ。三角さんたちが1年かけて教えてくれたようなことを数回の講義で教えてもらったような形なんですが、結果として何も残らなかったというのが反省としてあって。なぜ何も残らなかったのかというと、座学で終わったからですね。画面を共有しながら教えていただいたんですが、実際に手を動かして作業しないと覚えられなかった。
メンバーズさんは月1回の常駐を含め、OJTで丁寧に教えてくださり、最初の提案時にご説明いただいた「伴走支援」というのがまさに言葉の通りだなと感じています。

馬場さんの吸収がとても速かったので、教える側としても知識をアップデートしないとという気持ちが生まれ、お互いを高め合う良い関係を築けたと感じています。

愛知銀行 馬場:同じこと何回も聞いてきやがって、とか思われていないか心配していましたが(笑)邪険にすることなく、丁寧に教えてくださりました。

常駐時に毎回質問リストをたくさん作っていろんなことを聞いてくださって、本当に熱心だなと思ってお聞きしていました。

愛知銀行 青木:そういった意味だと、馬場をそういう環境にするために周りのメンバーが仕事を引き受けているという背景があります。周りの協力があって、馬場の成長がありますね。

愛知銀行 馬場:本当に周囲の協力があってこその話です。決して私一人のモチベーションの話ではなくて、周りが支えてくれている。必要な時は正してくれるというのが大きかったかなと思います。

座学だけでは終わらない伴走支援の成果

組織への還元と、分析にとどまらないビジネスへの展開を目指す

周りの人の理解があってこそだということを感じました。
これまでの取り組みや学びを踏まえて来年度以降どのように活かしていきたいか、馬場さん、青木さんそれぞれの今後の展望はありますか。

愛知銀行 馬場:メンバーズさんに教えていただいたことは自分1人の占有知識じゃないと思っています。組織全体のために教えていただいたので、マーケティングの分野で今回教えてもらったことは今後文化として広げていく必要があると考えています。この1年は自分でそれをやるための礎を築く年だったので、これからは自分で周囲を巻き込んで組織に還元していきたいです。新しいことをやるにしても、定量化してみんなで同じ土俵で話すという文化づくりみたいなところが必要かなと。要は自分だけのことと思いたくないです。周りの人が支えてくれているので。

愛知銀行 青木:今回は分からなかったことが分かるようになるのが目的で、そういった意味ではとても成果が出ています。次のテーマとしては、数値的な目標を持ちながら、この商品の申し込みが◯倍になりました、など商売につなげていきたいですね。

最後になりますが、改めて1年間伴走支援させていただいて、メンバーズに対する評価を率直に教えていただきたいです。

愛知銀行 青木:本当に感謝していますし、詭弁ととらえられるかもしれないですが、中京銀行との合併が控える特殊な期間でなければ継続でのご支援をお願いしています。本当に感謝しています。

愛知銀行 馬場:最高でした。それに尽きます。何がよかったかというと、その時に必要なところを目線合わせして教えてくれたところが、まさに伴走型支援という形ですごく良かったです。

本日は貴重なお話ありがとうございました!

分析内製化支援サービスのご紹介

メンバーズルーツカンパニーでは、地方銀行さまの伴走型DX支援を通じて心豊かな地域社会づくりを目指しています。

本記事で紹介している分析内製化支援サービスにご興味のある方は、以下よりお問い合わせください。
(運営会社の株式会社メンバーズのWebサイトに遷移します)


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