なぜ今「マイカーローン」なのか?
2025年、マイカーローンは地方銀行にとって再注目の分野となっています。新車価格の上昇や、中古車ニーズの拡大といった市場環境の変化に加え、ディーラーローンの強さが目立つなか、銀行が顧客接点を確保するうえで重要な商品となっています。
また、住宅ローンと比べて手軽で回転の早いマイカーローンは、若年層とのファーストタッチポイントとしての位置づけも強く、非住宅系ローン軸の収益源としても期待されています。
地銀におけるマイカーローン申込の課題とは?
従来のマイカーローンは、主に店舗窓口や電話での対応が中心でした。このアナログなフローは、比較検討が容易なマイカーローン市場では致命的となり、ディーラーローンやネット銀行に比べてスピード・利便性で後れを取ってきました。
さらに、住宅ローンのような事前相談が少ないため、検討の初期段階で顧客との接点を持つことが難しいという構造的課題もあります。
デジタル施策最前線:申込数アップに繋がる6つのアプローチ
Web完結型申込導線の最適化
ユーザーがスマホで完結できるよう、申込フォームの簡略化やUI改善が急務です。銀行によっては、最短10分で申込完了できる導線を構築し、コンバージョン率を向上させています。
デジタル広告での認知・比較層アプローチ
「マイカーローン 比較」「車 買いたい お金」などの検索意図に対応したリスティング広告、SNS広告によって、顕在層・準顕在層の獲得に成功している地銀もあります。
シミュレーターと連動した申込導線の強化
月々の返済額や総支払額がその場で試算できるシミュレーターを用意し、結果からワンクリックで申込に進める導線が有効。UXを意識した仕組みづくりが鍵です。
CRMを活用したクロスセル・リテンション
既存の給与振込口座保有者や住宅ローン顧客に対して、車購入に関するシグナルを検出し、パーソナライズド提案を行う取り組みも進んでいます。
地域販売店との連携強化とDX支援
地方の中古車販売業者と提携し、銀行のマイカーローンを提案できる仕組みや、販売店にとってもメリットのある紹介フィー制度などの整備が広がり始めています。
脱炭素×マイカーローン
電気自動車やプラグインハイブリッド車、ハイブリッド車の新車購入を対象とした、環境に優しい車の購入を支援するローンも出てきました。
今後の展望と成功のカギ
マイカーローンの競争軸は、金利から如何にスムーズに申し込めるかへと移りつつあります。地銀にとっては、地域の生活者の「最初のローン体験」を提供する重要な機会であり、UXの優劣が申込件数を大きく左右します。
また、車のある暮らしという文脈に寄り添った提案や、地域の販売店とのエコシステム形成が、今後の差別化のポイントになるでしょう。