みなさん、こんにちは。メンバーズルーツカンパニーの広報担当です。
3月のDX事例は、地方銀行(以下、地銀)のEC参入や今後の動きなどを取り上げてご紹介していきます。少子高齢化社会やコロナ禍の中で、地銀はどのようにインターネットを活用しながら地域経済の活性化へとつなげていくのか。
従来の窓口業務がメインだった「銀行」から飛躍し、地域やその土地の暮らしと結びついたビジネスモデルが生まれています。
地方の銀行や企業のマーケティングに携わる方はぜひ、ご覧ください。
地銀は地方創生へ向け、続々EC参入!差別化を図るには「情報発信」が鍵
既にいくつかの地銀では、子会社や出資先を通したEC展開に乗り出しています。また、今後のEC展開を検討している地銀も増えつつあり、地域の魅力を発信するプラットフォームとしての活用はベーシックなものになりそうです。
個々のサイトを覗いてみると、それぞれの地産品を詳しく紹介しており、その場へ行かなくとも名産品などを手に取ってみているような感覚で商品が購入できるようになっていました。
外出しにくい状況が続く中では、地方経済を支える1つの軸として、これらのマーケティングを活用することもできます。
しかし、今後各行でECサイトの数が増加していくならば、コンテンツの内容に「ここにしかない魅力」を伝える工夫や、サイト自体の使いやすさを考慮する必要も出てくるかもしれません。
また、地銀関係の制度としては、これから統合する地銀には資金が交付されるという喜ばしい制度が閣議決定されました。
制度の懸念事項としては、公的資金であることから補助金を受ける地銀は、地方創生に繋がるビジネスが確実に行われるよう、厳格な運用を求められています。
日本ネット経済新聞:〈地銀62行を独自調査〉 EC参入、検討相次ぐ/阿波銀は4月にモール展開
日本ネット経済新聞の2月の調査によると、子会社や出資先を通してEC展開を検討している地銀が多数あることが判明しました。既に運用されているサイトは「北國銀行(サイト名:COREZO)」、「三重銀行(サイト名:リージョネット三重)」、「YMFG(サイト名:jimotto)」などがあります。
また、阿波銀行は、1月に、ECを主力事業とした全額出資子会社の阿波銀コネクトを設立。4月にはECモール「ラシクルモール」が開設される予定です。
他にも、リレーションをフル活用したECモールとして、ふくおかフィナンシャルグループの子会社であるアイバンクマーケティングが、1月にECモール「エンニチ」の運営を開始。
地域共創型プラットフォームとして地産品や工芸品、地域のクリエイターや職人が手がけるデザイン・機能性の高い商品を発信し、流通させることで地域経済の活性化に貢献しています。
財経新聞:勝ち残り・生き残りを賭した、地銀のEC戦略の現状と課題
日本ネット経済新聞の調査で判明したEC展開を検討している地銀の1つ、阿波銀行の施策の内容は、「コンテンツマーケティングによる差別化」と「エシカル消費」にスポットを当てたものになっていました。
「コンテンツマーケティングによる差別化」には“情報発信”が鍵となっており、サイトに参加する企業は、会社の思いや商品の魅力をストーリー(記事)として伝える場に。
もう一つの「エシカル消費」は、SDGs(国連が掲げる持続可能な開発目標)を踏まえた取り組みです。
既にこれらに賛同した地元の約50社の食品・工芸品・雑貨等の出店が決まっているとのこと。
これらの方法が地銀の勝ち残り・生き残りの有効策となりうるために今、地銀にできることは、地銀だけが知りえる物販や地域特性(観光資源等も含め)を掘り起こして情報発信できるかどうかにかかっています。
ビジネス+IT:アングル:統合地銀への補助金、厳格運用求める声 問われる監督姿勢
政府は3月5日、統合地銀への補助金創設を盛り込んだ金融機能強化法改正案を閣議決定しました。
しかし、この法案の合併・経営統合に伴うシステム統合費用を国が負担する枠組みは、公的資金の付け回しにすぎないという疑念が専門家の間では根強く、地方創生に向けた本来の趣旨に沿った厳格な運用を求める声も多く上がっています。
大和総研の内野逸勢主席研究員は、「地銀が『装置産業』から早期に脱却し、地方創生の要の役割を担う上で今回の資金交付制度は重要」と評価する一方で、収益構造の是正に向けて「銀行本体から地域のためのビジネスへの人材のシフトを優先すべきだ」と語ります。
金融庁は補助金を受ける地銀には経営強化計画を提出させ、5年間モニタリングしながら地方創生に資するビジネスを展開しているか厳しく監督していく方針を示しています。
目指す姿は「脱・銀行」? 変化への柔軟な対応で未来に求められる銀行へ
新たな取り組みなどで注目されている2つの地銀のインタビュー記事をピックアップしました。
地銀の中でも新たなDXに挑戦し続ける仙台銀行と、大手銀行でありながら地銀としての顔も併せ持つりそなグループ。それぞれの代表インタビューにて、今後の戦略を語っています。
ビジネス+IT:仙台銀行のDX戦略、地銀はフィンテックにどう取り組むのか
地銀のイメージを打ち破る新たな取り組みを数多く実現してきた仙台銀行。代表取締役頭取の鈴木隆氏はインタビューにて、将来に向けての戦略とビジョン、フィンテックの活用などについて語りました。
新分野への取り組みとして、全国各地の金融機関と連携したクラウド型の本業支援プラットフォーム「Sendai Big Advance」を2019年11月よりスタートさせた仙台銀行。3月現在の「Sendai Big Advance」の会員は1,100社ほどに拡大し、参加している金融機関は2020年12月末の時点で57、参加企業は38,773社。鈴木氏は、「最大のコンテンツは、志を同じくする全国の金融機関のお客さまとつながること」と語っています。
その理由は、「Sendai Big Advance」を連携するまでは、マッチングの対象となる地域が限定されていたためです。
連携によって、地域の枠組みを超え、全国の金融機関に登録しているお客さま同士の商流の形成や、さまざまな情報の提供が可能になりました。
サービス内容は、無料のホームページ作成、助成金の申請のアドバイス、チャットによる取り引きの相談などです。
大きな可能性を持つ優れたビジネスプラットフォームとして、地域を越えたビジネスマッチングをメインに手ごたえを感じているようです。
日刊ゲンダイDIGITAL:りそなHD社長 南昌宏氏「ウィズコロナで目指すは脱銀行」
3メガバンクに次ぐ大手行ながら地域金融機関の顔を持つ、りそなグループ。超低金利にコロナ禍が追い打ちをかける中でどのようなビジネスモデルを描いているのか。りそなホールディングス社長の南昌宏氏へのインタビューで聞くことができました。
菅政権が推し進める地銀再編の核となる銀行としてメディア等で注目される中、南氏は従来の資本注入やシステム統合ありきの再編ではなく、地域のお客さまと個別に対話する中でお困りごとを共に解決していく「共創のプラットフォーム」で実現したいと語ります
具体的には、地域金融機関の課題などに対し、資本や系列を超えて共創のプラットフォームで活動し、Win-Winの形を目指します。
また、収集できるデータの拡大によって、ネットワーク効果が出てくるメリットもあると語る南氏。昨年は、りそなホールディングスと「めぶきフィナンシャルグループ(傘下に足利銀行と常陽銀行)」がデジタル分野においての戦略的提携も実現されていました。
また、「脱・銀行」を掲げていることについては、今後は“業”の垣根が溶けていくと想定し、必要以上に銀行業に引っ張られることは避けたいという願望も込め、「これまでの銀行はこうだった」という発想を変え、常にお客さまのニーズを起点に異業種を含めた知見やノウハウを融合させるような形を目指していきたいと語りました。
まとめ
地銀のDX活用の傾向は業務効率化にとどまらず、ECサイトやプラットフォーム立ち上げなど、従来の銀行業という枠組みを超えた地域活性化に注力し、それらを導入・推進していく様子が感じられたのではないでしょうか。
今後の地銀は、窓口業務のやり取りを可能な限りインターネット取り引きへとデジタル集約し、効率化された人や時間を使って地域企業の支援をより強化する経営戦略へと変化しています。地域と密接な関係を築いてきた地銀ならではのサービスの誕生に期待しつつ、これらの取り組みがどのように地域に貢献していくのか? その実績にも注目していきます。
また、これらの施策をご覧になっている地銀のデジタル担当者のみなさまの中には「どこから手を付けて良いのか分からない」、「人もスキルも足りない」など、デジタル化の問題を抱えているかもしれません。
私たちメンバーズルーツカンパニーは、既存ビジネスのデジタル化から新規事業開発まで、様々なデジタルプロジェクトの推進に対応しています。
地方銀行に特化したDX人材が必要な方はぜひ、「地銀DX人材サービス」へお問い合わせください。