はじめまして。メンバーズのデザイナーの安陪です。
私たちメンバーズルーツカンパニーでは、地方銀行さまをメインにDX支援を行っているのですが、地銀アプリ、ローン、投資信託などに関して日々多くのご相談をいただきます。
今年2024年より新NISAがスタートしていることを受け、地方銀行の投資信託を検討するユーザーはどんな方なのか、ユーザーアンケートとユーザーインタビューを行い、ユーザー理解を高める取り組みを行いました。今回は調査からわかった内容について、ご紹介します。
地方銀行で投資信託をはじめる人の特徴
突然ですが、地方銀行で投資信託をはじめた人は、どのような人だと思いますか?
今回、ユーザーアンケートとユーザーインタビューを通じて、地方銀行で投資信託を始めた人の特徴を調査し、その行動や心理を明らかにしました。まずは調査結果として、以下の点が挙げられます。
- 投資信託に関する知識をあまり持っていない。
- ネットで情報収集をしても、情報量が多く、専門性が高いため理解しきれない。
- プロに聞いて安心したい。
- 昔から使っている地方銀行に安心感があるので、相談先として思い浮かぶ。
- 口座開設前に、購入するファンド(商品)の検討はしていない。
- 口座開設後、窓口相談でおすすめされた商品で運用をはじめる。
これらのことから、地方銀行で投資信託を始める人は、「自分で比較検討をするより、なじみのあるプロからのおすすめを選びたい」という志向がある事が分かりました。
地方銀行とネット銀行の投資信託ユーザーの違いとは?
それでは、実際にメンバーズのポップインサイトカンパニーと協力し、実施したユーザーアンケートの結果を共有いたします。アンケートは1547名に対して実施されました。
Q1:投資信託をはじめる前に、どのような不安があるか?
以下のグラフは、赤が地方銀行で投資信託口座を開設した人、グレーが地方銀行以外で投資信託口座を開設した人に対する不安を聞いた結果です。
この結果から以下のことが読み取れます。
- 「元本割れ、損をするリスクを懸念」「投資に関する知識不足」の不安は、地方銀行と他の銀行での投資信託口座開設者の両方で上位にあります。
- 「不安は特になかった」割合は、地方銀行での口座開設者の方が他の銀行に比べて少ないことが分かります。
Q2:投資信託口座の開設を検討し始めたきっかけは?
こういった不安を抱える方が具体的になぜ投資信託口座の開設を検討し始めたのでしょうか。アンケート結果では、地方銀行で投資信託口座を開設した人の47.3%が、「利用している金融機関の営業担当に勧められたこと」がきっかけで検討し始めたという回答がありました。
Q3:投資信託口座の開設を検討する際、何を重視したのか?
以下の表は、投資信託口座の開設を検討する際に重視した点を示しています。
地方銀行で投資信託口座を開設した人が一番重視した点は「預金口座の有無」でした。
一方、ネット銀行やメガバンクでの口座開設を選んだ人は、手数料や口コミ、キャンペーン等を重視したことが分かります。
Q4:投資信託口座を開設している人は、地方銀行の預金口座を持っているか?
では、地方銀行の投資信託口座を開設している人は、地方銀行の預金口座を持っている人が多いのでしょうか。
まず、実際に投資信託口座を保有している人(ネットバンク、メガバンク、地方銀行問わず)を地方銀行の普通預金口座の利用状況と紐づけて
・地方銀行の普通預金口座のみ保有している方
・メインの普通預金口座が地方銀行である方
・メインの普通預金口座が地方銀行ではない方
・地方銀行の普通預金口座は未保有の方
の4つに分け、それぞれ地方銀行での投資信託口座の開設・検討状況を見てみたところ、地方銀行の普通預金口座を持っている、またはメイン利用している人ほど、地方銀行での投資信託口座を開設・検討している、ということがわかりました。
Q5:商品(ファンド)購入を検討する際に、どのように情報収集をしたか?
以下の表は、商品(ファンド)購入を検討する際にどのように情報収集をしたかに関する質問に対する回答です。地方銀行で投資信託口座を開設した人は、メガバンク・ネット銀行で開設する人よりも、情報収集をしていない割合が多いという事が分かりました。
地方銀行の投資信託ユーザーにアンケートをしてわかったこと
地方銀行の投資信託ユーザーに行ったアンケートから得られた結果は以下の通りです。
・「元本割れ、損をするリスクを懸念」「投資に関する知識不足」の不安点がある。
・きっかけは、利用している金融機関の営業担当に勧められた。
・「預金口座の有無」「取引のしやすさ」「手数料が安い」点を重視した。
・自分で投資信託商品についての情報収集はしていない人の割合が多かった。
地方銀行で投資信託をはじめた人の行動・心理とは
次に、地方銀行で投資信託をはじめた人の具体的な行動や心理を3名のユーザーインタビューから見ていきます。
インタビュー1:ちださん(独身会社員30代)
インタビュー2:ほしなさん(既婚会社員40代)
インタビュー3:うかわさん(独身会社員50代)
投資信託をはじめた3人の共通点
地方銀行で投資信託を始めた3人のユーザーインタビューから浮かび上がった共通点は以下です。
・投資信託について、自分で情報収集してもよくわからないし、自分一人では決められないと思っている。
・地方銀行が物理的にも心理的にも身近で、安心の存在。
・窓口で相談し、おすすめされたファンドを素直に購入。
これにより、地方銀行で投資信託を始める人々は、「自分で比較検討をするより、なじみのあるプロからのおすすめを選びたい」という志向がある事が分かりました。
投資信託を検討したが口座開設に至らなかった理由
一方で、口座開設に至らなかった人たちの主な理由は以下の通りです。
・ある程度の知識を得てからじゃないと窓口相談はハードルが高いと感じ、窓口相談には行っていない。
・投資は証券会社が専門で、銀行は専門性が高くなさそう。地方銀行だとより専門性が高くなさそうで、不安で窓口に行かなかった。
・窓口で相談をしたが、そこまで投資信託をおすすめされているように感じず、その後の連絡などのフォローもなかったため関心がなくなった。
地方銀行ユーザーに投資口座開設を諦めさせないためには?
・相談窓口は、投資信託の知識をつけてから行く場所ではなく、知識をつけて安心して投資信託を選べるようにするための場所であることを伝える。
・なじみのプロとして、親身になっておすすめをすることを伝える。
UXリサーチ結果の課題を解決していく事で、地方銀行で投資信託を始める人が増えていくきっかけになるのではないでしょうか。
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