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DX推進の新たな形~地銀全体で進む共有データ活用~

みなさん、こんにちは。メンバーズルーツカンパニーの広報担当です。

今回は、地方銀行(以下、地銀)全体でDXと共に推進していくべき地銀内部の業務効率化についてお伝えしていきます。

DXの事例は個々の地銀で増加しつつありますが、今回注目した事例は、“複数の地銀”によるDXを業務効率化へと繋げていく新たな取り組みです。
DX推進を地方創生に繋ぐためにも地銀のデジタル担当者さまはぜひ、DXを加速させる最新の取り組みをチェックしてみてください。

本格的なDX推進と共に業務効率化を!

前回の記事では、地銀のデジタル活用が地元企業や人々の暮らしの未来を変革できる可能性を秘めていることについて、いくつかの事例とともに紹介していきました。
その中でも、早期にDXを積極的に推し進めてきた地銀は、DXによって人材を余らせずに業務効率化する等、自行の「環境整備」をしながら地域経済の発展をサポートに繋げて行くことの必要性を感じていました。

地銀が地方創生の立役者であるために

ここで改めて考えたいのは、その地方の企業や住む人によって「銀行」という存在は身近なものであり、ビジネスを始める・拡大していくなどの経済に関わる活動のパートナーや相談役として欠かせない存在であるということ。

そのように考えてみると、地銀が地方創生の立役者であり続けるためには、自行の業務効率化を早急に進めて行かなければ地方企業のサポートに取り組むことが難しくなってしまう事もご理解いただけるのではないでしょうか。

リソース確保にも繋がる業務効率化

また、少子高齢化社会による人材不足は多くの業界で課題となっていますが、地銀においても同じことがいえます。
さらに、このような状況は短期間での改善は見込めません。だからこそ、地銀が率先してデジタル活用による業務効率化を推し進める必要があり、効率化によって中小企業の支援や融資等の相談を受けるためのリソースを事前に確保することができるようになるのです。

地銀同士が繋がる!新たなDX推進の形

しかし、これまでにもお伝えしてきたようにDX推進には依然として壁が多いというのが現状です。
デジタルに対する誤解を解き、意識改革から始めなくてはならない等の課題を抱えています。
そんな中で、他の地銀やデジタル企業と共に協力し合いながらDXを進めるという、革新的なDX推進の取り組みが一部の地銀にて始まっていました。

FAQ活用で業務効率化に貢献

現在、AIを使用したチャットボットは、インターネット通販を始めとしたWebサイトで目にすることが増えています。技術が進歩し、AIの精度も高まり続けているため、今後も幅広い業界で取り入れられていくことが予測されています。

そして、このようなチャットボット向けFAQを使い業務効率化を図り始めたのが、6つの地銀(京都銀行、十六銀行、三十三銀行、静岡銀行、肥後銀行、名古屋銀行)です。人工知能技術の開発・サービス提供・ライセンス提供をする 株式会社PKSHA Technologyのグループ会社である株式会社PKSHA Workplaceが5月より提供を開始した「地域金融機関FAQプラットフォーム」を導入することになりました。

PKSHA Workplaceでは、コロナ禍以降、地銀の非対面営業が増加してきたことや金融商品の複雑化に伴い問い合わせが増え続けている中、京葉銀行へAI対話エンジン「BEDORE Conversation」を導入し、月間50,000件の電話対応を効率化に向け、AI窓口での対応を開始しています。
今回、6つの地銀がタッグを組むことになった理由には、単なるチャットボット導入ではなく、 “精度の高いFAQ” が提供できるチャットボットが必要であるという事が地銀共通の課題だったことも影響しており、このような背景の中においてPKSHA Workplace は先に述べたように京葉銀行等、地銀における導入実績がある企業だという事からも「地域金融機関FAQプラットフォーム」が大幅な業務効率化に繋がるとして期待されていると考えられます。

効率化のカギは非競争領域のデータ活用

また、地銀が競合同士の立場を越え、同じ取り組みに乗り出していた事にも新たなDX推進の流れが感じられました。

データ活用については、国を挙げてデジタル化が進むいま、どの業界でも“データが生み出す価値”に注目が集まっている最中ですが、競合の立場にある6つの地銀が協力し合いながら「地域金融機関FAQプラットフォーム」を導入できたのは、FAQのデータが汎用的なものであり、非競争領域だったことにあるようです。

さらに地銀が独自に持っていたFAQを共有化し、業界共通データに加工することで業界全体の効率アップにも繋がること、複数の地銀で多数のデータを提供することによるノウハウの共有、FAQの精度がアップするというメリットがある仕組みであったことも参画の意義を感じられるポイントだったのではないかと思われます。

まとめ

DX推進による顧客に向けた取り組みはもちろん必須ですが、それと同時に地銀内部に向けた業務効率化へも取り組み続けていくことが必要です。

今回ピックアップした、デジタル企業と地銀が協力し合いながら業務効率化へ取り組んだケースは、非競争領域のデータを上手く活用した好例です。個々の地銀が独立してDXを進めるという流れを変え、他行との連携が業界のDXの底上げをしていくことを証明するものとなっていくのではないでしょうか。

自行のみだと滞りがちなDXも、このようなプラットフォームへ参画することで効率的にDXが加速し、顧客満足度が向上することも期待されます。銀行間の連携による、新しいDXの取り組みを用いて地方経済の活性化に貢献してみてはいかがでしょう。

次回もまた、最新の地銀DXに関する取り組みをご紹介していきます。

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