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地方銀行・地方中堅企業におけるDX事例まとめ(2021年2月前半)

みなさん、こんにちは。メンバーズルーツカンパニーの広報担当です。
今月より地方銀行のデジタルトランスフォーメーション(DX)事例やSDGs(持続可能な開発目標)に繋がるような地域での取り組みなどを中心に、各地方のデジタルに関する情報を月に2回、ご紹介していく予定です。

初回となる今回は、コロナ禍で設置が加速した地方銀行(以下、地銀)のDX対策の現状や、地域経済の活性化に対する取り組み、地銀の最新デジタル化事例などについてピックアップしています。金融業界のDXに関心のある方や、地方の企業のデジタル担当者の方もぜひ、チェックしてみてください。

地銀DXの現状

昨年の新型コロナウイルス流行以降、金融業界でもデジタル化を推進する流れは加速しています。

しかし、地銀で働く行員の方々はデジタルの必要性を感じてはいるものの、実際の現場ではデジタル化はさほど進んでいないようです。そんな中、1月の終わりには「大企業の人材を地方の中小企業に派遣する制度が始まる」というニュースもありました。

デジタル化が進まない要因には、スキル不足や人材不足もあるため、それらを補いながらデジタル化へ踏み出せる機会にもなるのではないでしょうか。

SalesZine ニュース:地銀の社内業務 7割が「DXの必要性を感じる」も、「着手予定なし」は25%/Sansan調査

Sansan株式会社は、昨年10月に地域金融機関における社内業務のデジタル化・DXへの取り組み状況を調査(地域金融機関[第一地方銀行、第二地方銀行、信用金庫]に勤務する課長以上の管理職400人)し、結果を発表しました。デジタル化・DXについては、「必要性を感じている」が46%、「やや必要性を感じている」が26%と、全体の72%が少なからず必要性を感じている状況ということが判明しています。

さらに、社内業務のデジタル化は「あまり進んでいない」が20%、「進んでいない」が9%と、全体の29%が「進んでいない」旨を回答。また、「どちらとも言えない」という回答は37%となりました。

デジタル化の障壁としては、「投資コストが莫大」が72.8%、「デジタルやテクノロジーに関するスキルや人材の不足」が36.5%と続いており、DX推進を叫ばれる中でもコスト不足、IT人材の確保が難しい状況であることがうかがえます。

NHK NEWS WEB:大企業の人材を地方の中小企業に派遣 コロナ禍で支援へ

国の制度として、大企業や大手銀行などで経験を積んだ人材を地方の中小企業への派遣する制度が本格的に始まることが発表されました。

これにより金融庁が商社やメーカーなどの大企業や大手銀行に対して、地域の中小企業で活躍したい人材のリストアップを働きかけ、官民ファンドの「地域経済活性化支援機構」が管理するリストに人材を登録。

リストをもとに経験と能力のある人材を紹介するという仕組みです。新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、ビジネスモデルの転換を迫られた企業の支援や事業の再生等の課題解決の施策としての働きかけが期待されます。

DX事例紹介

銀行のサービスにも、新しい形式のものが次々とリリースされています。

資産運用にロボアドバイザーを取り入れたり、次世代のデジタルバンクとして開業する「みんなの銀行」では、通帳やキャッシュカードの発行をなくしています。直接銀行に行って口座を作ることが当たり前だった時代には考えられなかったサービスです。

また、地銀と地元企業が協力し合い、地域の魅力を発信する取り組みも盛んになってきています。現在のように外出の機会を減らさなければならない時期には、地銀と地元企業が協力し合える仕組みを持つことで、地域の活性化や地域外へ向けたマーケティングの機会が獲得できます。

ITmedia:スマホ完結の「みんなの銀行」が5月に始動 デジタルネイティブ世代に訴求

ふくおかフィナンシャルグループ傘下の「みんなの銀行」は、5月下旬にデジタルネイティブ世代をターゲットにした次世代のデジタルバンクを開業する予定です。

全てのサービスをスマートフォン上で完結させ、スマホだけで口座開設や取引が可能な銀行となるため、申し込みに書類などを送付する必要はなく、通帳やキャッシュカードも発行しません。

永吉健一副頭取は「24時間365日、いつでも口座開設が完了して、その場で使い始められるのは恐らく日本で初めて」と語っており、アプリもグラフィカルでシンプルな操作性を追求し、できるだけ片手で操作できるように設計されているとのことです。

既に主要なサービスの実装は終了しており、アグリゲーションやバーチャルデビットカードなど、5月のサービスインに向けて機能の追加をしている最中ですが、サービスはこれからも拡張予定です。

産経ニュース:地銀の生き残り戦略「地域商社」が売り出す地元ブランド

地銀が設立する「地域商社」は、地域に埋もれ、知られていない産品を発掘し、生産者らに代わって域内・域外に拡販する仕組みをもつ商社です。

岡山の第1地銀の中国銀行などが2020年11月に設立した地域商社「せとのわ」では、県内の漁業関連会社の依頼を受け、いわゆる“未利用魚”を加工品として“利用魚”に変えるプロジェクトが進められています。

地域商社の設立は国も後押ししており、平成27年から昨年の5年間で地銀が出資していないものも含め、すでに98件設立されています。銀行は従来、一般事業会社に対して原則として5%までの出資しかできませんでしたが、銀行法施行規則の改正で昨年10月から金融庁から事業認可を得た「銀行業高度化等会社」では、銀行の100%出資で地域商社が設立できるように変更されています。

佐賀新聞Live:自動資産運用の導入広がる 地域金融機関、サービス充実へ

コンピューターが顧客の年齢や投資目的などに応じ自動で資産運用する「ロボアドバイザー(ロボアド)」サービスを導入する動きが地域金融機関に広がっています。

北国銀行(金沢市)も2019年に同様のサービスを導入。また、浜松いわた信用金庫(浜松市)は2020年11月、ロボアド国内最大手のウェルスナビと組んだサービス提供を開始しました。

ウェルスナビは通常、申し込みや運用状況の確認などをするオンラインサービスですが、同信金職員による対面の助言と組み合わせることで顧客の疑問を解消しやすくしています。

ロボアド大手にとって、地域金融機関との連携は新たな顧客開拓の好機となっているといえるでしょう。

まとめ

新型コロナウイルスの流行以降、私たちのライフスタイルは大きく変わっています。その中で、地銀のサービスも形を変え、よりデジタル化されたものに近づいているようです。

デジタル化の未来を見据えてDXを推進することは、距離や時間を問わずにマーケットを広げられるチャンスにもなります。地銀の売上は、1月時点で昨年同期に比べ売上減は62.8%、利益減は5割超という調査結果も出ていました。

地銀がDXを推進し、その地域の事業者と協働することによって、少ない人材のままで効率よくサービスを提供する仕組みを構築することに繋がるのではないでしょうか。

これからの地銀には生産性の向上と新規事業領域開拓の両軸を実現するためのDX推進が求められます。そのため、DXもミッションのひとつとして進めて行かなくてはなりません

メンバーズルーツカンパニーでは、金融業界のDX推進の際に、一番最初に取り組むべき『顧客向けの既存業務のデジタル化』について、独自に『WEBサイト』『サービスの非対面化』の2軸で評価項目を作り、調査をしたレポートを無料で提供しています。

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