みなさん、こんにちは。メンバーズルーツカンパニーの広報担当です。
我々は地方企業様のWebによるビジネス成果のご支援をさせていただいております。日々の業務を進める中で、多くの地方銀行地方銀行(以下、地銀)の方々からお問い合わせやご相談をいただいております。そのため、地銀の現状やDX推進の動向に常に目を光らせております。最近では、DXに注力しているは地銀は多数あるかと思います。各地銀でデジタル面を強化しながらDXへの歩みは進められており、DX推進も次のステップへと移行をみせているようです。地銀独自の取り組みのほか、デジタル関連企業と提携しながら体制や経営ビジョンの変革も積極的に行われておりますので、こちらで地銀のDX推進の動向として少しご紹介させていただければと思います。
地銀が次々とDX認定事業者に認定される現状
DX認定制度は、経済産業省が「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態(DX-Ready)」であることが確認できた事業者を認定する制度です。この数か月の間に「DX認定事業者」となったのは、大分銀行と山形銀行。九州の地銀では肥後銀行も認証を得ているため、肥後銀行に続いての認証です。山形銀行は東北の地銀で初の認定となり、他の東北の地銀もこの事例を参考に後に続いて行くのかもしれません。
さらに、武蔵野銀行では、DX推進で競争力を強化する計画を金融庁に認定されました。デジタルチャネル等を通じてパーソナライズされたサービスの提供により、販管費を売上高で除した値を8.8%以上削減するなどの取り組みで「DX認定事業者」と認定と同様の扱いを受けられるそうです。
認定者になるメリットとは?
この二つの認定によるメリットを挙げると、DXの実現に必要なクラウド技術を活用したデジタル関連投資に対して税額控除(5%又は3%)、もしくは特別償却30%を措置するというものや、日本政策金融公庫による融資、中小企業信用保険法の特例が適用される点があります。
税額控除等のメリットを受けることで地銀にとってはDXをさらに推し進め易くなるとともに、DXに積極的に取り組んでいる地銀であることを取引先企業やユーザーにPRでき、イメージアップにもつなげることができます。
目指すべき姿は、認定ではなくその先に
直近で認定されてきた地銀を少し紹介してきましたが、認定されることが目的ではなく、地銀は地元企業や自治体・施設へのDX支援をしていくためにDX推進に取り組んでいます。
そのため、ここからは地銀がデジタル関連企業と協業し、地元企業や自治体・施設へのDX支援をしている事例もいくつかご紹介していきます。
デジタル関連企業との協業や自治体との連携で進むDX
経営傘下に十六銀行を持つ十六フィナンシャルグループと、電算システムホールディングスの合弁会社、十六電算デジタルサービスでは、取引先の課題解決に向けたDXやDXによる地域創生、十六フィナンシャルグループへのDXやデジタル推進を支援するDX推進事業を始めています。
愛媛県の伊予銀行でも、デジタル技術を活用したユニークな“まちづくり”に取り組んでいます。
南予地方にある鬼北町は、令和3年11月には『鬼北町におけるDX推進に関する連携協定』が締結されており、医療・介護のビックデータと高齢者の具体的な活動を分析した施策立案の実施や、近永駅周辺にワーキングスペースを整備するなどのDXを推進する環境整備を行うことが発表されていました。「ローカル5G」の整備や、スマート農業への取り組みで通信環境を整え、Uターン人材を呼び込むなど、地元企業の活性化や担い手の確保を見込んでいます。
秋田銀行も同様に、仙台のデジタル関連企業の株式会社ワイヤードビーンズと業務提携することで地域のDX推進を強化していました。ワイヤードビーンズは「地域×DX」というテーマに積極的に取り組んでいた実績から、今回の提携によって秋田銀行が行う支援の一環として、ワイヤードビーンズのDXソリューションをデジタル化に課題をもつ企業に提案し、課題を解決していくとのことです。
地銀単独のDX支援に向けた新たな人材育成
デジタル関連企業との協業だけではなく、今後に向けて自社で顧客を支えていけるよう、人材育成にも力を入れています。
山梨中央銀行では、DX推進人材を育成するための取り組みが進められています。これは、顧客の課題解決やデジタル化のニーズに対応できるDX推進人材を2024年度末までに全行員の4分の1に当たる600人育成するというもの。そのための行内資格として、認定制度の導入を発表していました。
認定資格は「DXプランナー」と、その上位資格となる「DXマネージャー」の2段階。DXの基礎的な知識を備える「DXプランナー」と、行内のICT(情報通信技術)導入コンサルタントや外部のIT(情報技術)関連事業者と連携しながら顧客に最適な課題解決方法を提案する「DXマネージャー」です。
DX人材は金融以外の業界でも採用率の高い人材となっていますが、その一方で人件費やスキルの面でマッチングが難しいと感じている企業も沢山あります。そのため、DX人材が主力となる企業では独自の人材育成も必要な要素となり始めています。今すぐに現場で活躍できるような即戦力ではないかもしれませんが、自社の業務知識を中心に強化しながら育成することも可能であるため、時間が経つほどに投資効果が発揮されるシステムになってくると思われます。
DX支援で変わる“まちづくり”
このように現在地銀では、サービスのデジタル化だけではなく、地元企業や自治体のDX推進支援を通し、地域活性化に向けて注力しています。
現在、日本の地方と呼ばれる地域では急速な過疎化が進んでおり、そのような地域で暮らす方々はデジタルを活かしたスマートシティーの誕生を期待しているのではないでしょうか。人口が少なくとも暮らしの便利さをデジタルで補うことができれば、若者が都会に流出することも減るかもしれません。また、過疎化した地域ではお年寄りへのデジタルツールへのレクチャーなども新たな課題とはなりますが、今後の経過をウォッチしつつ、成功事例になることを期待しましょう。
まとめ
それぞれの地銀のDXに関する取り組みにも独自性が加わり、デジタル関連企業との地方創生やDX人材育成にも注力している様子が感じ取れたのではないでしょうか。
経済産業省が認定する「DX認定事業者」となった地銀や金融庁がDXの推進で競争力を強化する計画を認定された地銀も冒頭でご紹介しました。また、このような取り組みは、顧客のDX推進を地銀全体で進めるための施策でもあります。地銀の体制や経営ビジョンを含めた大きな枠組みでDXを取り入れることによって人材育成などの面も補強され、DXを取り入れた地元企業の活性化・地方創生をさらに後押しできるようになることが考えられます。 次回もまた、最新の地銀DXに関する取り組みをご紹介していきます。